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2007年 7月 1日(日)

FUNKY 4th.ツーリング


久しぶりに600kmを超える距離を走り、美味しい蕎麦と温泉を楽しみ、鳥海山の楽しい道を堪能したツーリングになりました。。




   
Report by Ryuta   

▼ 
コース

秋田⇒出羽グリーンロード⇒南外

⇒十文字⇒岩井川⇒石淵ダム

⇒厳美渓⇒細倉鉱山⇒花山⇒鳴子

⇒舟形⇒大蔵⇒ 肘折温泉

昼食
 生そば寿屋 上の湯入浴

⇒大蔵⇒真室川⇒青沢

⇒山形鳥海山 滝ノ口小屋口

⇒観音寺⇒遊佐⇒鳥海山 鉾立

⇒象潟⇒仁賀保高原⇒西目

⇒本荘⇒国道105号⇒大正寺

⇒出羽グリーンロード⇒国道13号

⇒岩見三内⇒宝川

モト ワークス ヒラタ
     走行距離 618km

空は曇り空、気温も低く走り易そうな天候で秋田市を出発する。


南外 佐藤書店前。この辺も雨が上がって間もないようであった。


空は大分明るくなって来た。 ※B氏撮影














































岩井川の旅の駅 雨です。


ここで合羽を着て出発する事になる。
▼雨の心配は無いとは言うが!?
土曜日の天気予報では明日日曜日は雲で、予定コースの山形県は晴れ間も出る予報になっていた。この時期晴れて日が差すと結構気温が上がる為、私は日差しが出るよりは曇り空の方がありがたいと考えていた。

朝起きてみると空は注文通りの曇り空、私は勇んで店に向かう。今日は私が一番乗りで、いつもいるU氏の姿は無かった。GSX−Rを工場から出し、着替えているU氏がやって来る。

今日の参加者は私を含めて4名、前回の8名と比べると半数でペースの速いツーリングになりそうである。U氏に続いてM氏・B氏と到着し、我々は出発予定のAM6:00少し前、秋田市を出発する。

国道13号から出羽グリーンロードに入ると路面がパッチウェットで、所々に濡れている所が有りペースを上げられない走行が続く。秋田市では降っていなかったが、内陸では夜半に雨が降ったようでこの状況は南外の国道105号に出るまで続いた。

いつもの佐藤商店で休憩となったが、前にある温度表示版は17℃を示していてこの時期にしては少し低い気温である。私はこの気温を予想して中にTシャツと薄手の長袖シャツを着て来ていたのだが、走ってはそれでちょうど良い感じであった。

暫しの休憩の後、我々は佐藤商店を出発し大森、沼館と走って横手盆地に出る。我々の正面に奥羽山脈の山々が見えて来たのだが、山は雲に隠れていて頂上は見えていなかった。しかしその時の私は、まさかその雲の下で雨が降っていようとは考えてもいなかったのである。

浅舞で国道107号に出てそこから十文字に向かった我々は、道路両側に広がる赤く実をつけたサクランボの木を見ながら走る。そういえば、十文字でサクナンボが盗まれたとテレビニュースでやっていたのを思い出した。

十文字や増田地区には果樹園が多く、季節毎に実った果実を見る事が出来る。今の季節は十文字でサクランボ、秋の最終ツーリング時には増田でたわわに実ったリンゴを見る事が出来る。私はこの道を通る度に、季節を感じるのである。

増田の街を過ぎると路面が濡れてきて、東成瀬の役場の近くまで来ると完全なウエット路面になってしまった。霧雨も降ってきたが、雨具を着る程ではなかったので私は岩井川のGSまでそのまま走る事にした。

▼U氏を襲った黒い物体  それは・・・

そんな中、先頭を走る私の前に何か黒い物体が現れた。前方の黒く濡れたアスファルト上に横たわるその物体は、アスファルトに溶け込んでいて私にはそれが何であるか判別出来なかったが、何かの死骸である事は判った。私はとっさに走行ラインを変え、その物体を回避する。

問題は私の直ぐ後ろを走っていたU氏だったのだが、彼の対応は冷静だった。前を走る私がラインを変えたと思ったら目の前に黒い物体が現れた時、彼はそれが黒猫の死骸である事を即座に認識したと言う。

先頭の私でさえ猫の死体とは分らなかったのに、彼はその短い時間にしっかりとそれと認識したのである。さすが若者は目が良い。私は彼のその判断の早さに恐れ入ったのだが、その後の彼の対応に私は感服する事になるのである。

これは後で本人から聞いた話なのだが、突然目の前に現れた黒猫を見て彼は考えたと言う。路面はウエット、黒猫を避けるとスリップダウンしかねない状況に彼はそのまま進む事を即座に決めたと言う。

相手は猫、轢いても隼は勝てると踏んだ彼はそのまま進む事を選択したのだったが、問題は猫のどの部分を轢くのがベストチョイスなのかであった。

彼は決断する。一番問題の少なそうな?(さすがに頭は避けたかったようだ。)前足と後足の間(つまり胴体)を通過する事を・・・。

「グニュ・・・!」

意外に衝撃は少なかったようで、隼は無事に黒猫の上を通過する。一度?轢かれているのだがらそれは当然の事なのだが、彼はしっかりと猫の感触を隼を通じて感じ取ったのだった。

FUNKYと猫と関わりは以前にもあった。それは北海道に向かう為八戸のフェリーターミナルに向かっている時の事だった。日の落ちた田舎の集落を走っていた時、道路左側前方に白い猫(三毛猫風?)がいるのを私は発見する。

その猫は私の方に顔を向けていたのだが、突然私の前方に飛び出して来たではないか。一瞬の事で私はブレーキを掛けたが止まる事は出来ず、そのまま通過してしまったのである。その状況を後ろで見ていた者の証言によると、白猫は私の後輪(前輪ではなく)に当たり一瞬宙を舞った後、左側の藪に走って消えて行ったと言う。

避けられたと思った瞬間後輪に違和感?を感じていた私は、猫に接触した認識は有ったのだが、これから北海道に向かうという時に猫との接触で、その時は何とも不吉なものを感じたのであった。しかし、その時の北海道ツーリングでは、大した祟りは無かったと記憶している。

今回のU氏の場合、相手が黒猫と言う事でこれから先どんな祟りが有るのか心配されたが、最初に轢いたのは彼ではないわけで、まぁ それは後のお楽しみと言う事で・・・。

黒猫の御冥福を心からお祈りしたいと思います。


▼予定変更

岩井川には二箇所のガソリンスタンドが有って、私は安全の為(昨年は栗駒でキワドイ状況に陥ってしまった為)そのどちらかで給油しようと考えていたのだが、その二箇所共開いていなかった。

我々(大型3台)はここで給油しなくても次のGSまでは充分ガソリンは持つと考えられるのだが、FZR400RR−SPのB氏が微妙な感じなのだ。しかし、路面はウェットで高回転は使用出来ない状況にあるから、ガソリンの心配は無いとも考えられるのだが・・・。

それよりもこの雨である。ここでは霧雨程度の雨ではあるが、これから向かう予定の須川は1000m以上の標高が有り、ここよりも強く降っている事が予想される。そしに須川は雲の中に在る可能性が高く、走ってもただただ難行苦行になってしまう事が考えられた。

予定では岩井川から国道342号を走って須川に出た後、県道を通って国道398号に入り花山に出る事にしていたのだが、今までの経験からここから花山の手前温湯温泉付近までは路面が濡れている事が考えられる。

温湯温泉までは結構な距離が有るし、まして須川付近は雲の中とあっては走って楽しくなさそうで、私はここ岩井川から国道397号を使って奥羽山脈を越え石淵ダムに出るルートに変更する事を検討する。

この雲の状況からして雲が掛かって雨が降っているのは県境の山付近と考えられるから、岩手県側の石淵ダム付近は晴れているものと思われる。石淵ダムまでの道は狭く曲がりくねってはいるが温湯温泉までの距離の1/3以下と短く、ウェット路面の距離を大幅に短縮できる。

石淵ダムの先の愛宕にはGSがあるから、そこで給油できるからガソリン面でも都合が良い。そこで私は予定を変更し国道397号で石淵ダムに向かう事を決定したのであっる。


▼打たれ強いカメラ

ベンチで休憩していた私が、デジカメラをベンチの横に置いたまま立ち上がったその時、デジカメがベンチから転げ落ちてしまった。
「ガツッ・・・ コロコロコロ 」
いやな音がしてカメラからレンズが外れて転げていく・・・。
カメラのストラップが私に引っ掛かっていたようで、デジカメは50cm程の高さから地面に叩きつけられてしまったのである。

レンズが外れたデジカメを見た私は、慌てる事も無くカメラとレンズを拾い上げ、レンズをカメラにセットしてプラスティックのリングで固定、変形してしまったレンズマウントの角を修正する。

その状況を見ていた皆さんは大変驚かれたようなのだが、実はこのカメラを落としてしまいレンズが外れたのは今回が初めてではなく、私は慌てる事無く行動できたのであった。

私の使っているデジカメ オリンパス C−700 Ultra Zoom (210万画素) はもう6年も使用している古いカメラで、その間私によって何回も地面に落とされていた。それでもこのデジカメは故障する事無く復活して、何とか今まで使用しているカメラなのである。

実は今年になってこのカメラの後継機を購入する機会が私にあったのだが、購入寸前までいって私の優柔不断さが災い(幸い)して御破算になってしまった事があった。それはこのカメラの怨念が私に乗移ったかのようなドラマ展開だったのである。

今回の落下事件でレンズの角が欠けてしまったこのカメラだが、これがまた画像に影響の無い部分が欠けていて、何とも打たれ強いカメラではある。

休憩を終えた我々は、雨具を着て石淵ダムを目指し走り出す。


今回は手前の駐車スペースで休憩する。ここには水が常に流れている水洗トイレがある。つまり私はトイレに行きたかったのである。


今建設中の胆沢ダムが完成すると、石淵ダムは水面下に沈む事になる。。


愛宕のGSで給油。ここで給油するのは久しぶり(4〜5年ぶり)だったが、オバサンは変わっていなかった。


昨年もここで給油していれば、ガス欠の危機に見舞われる事はなかったのだが・・・・。
▼山の向こうは晴天!
国道397号の山越えは、秋田県側と岩手県側とでは道の性格が違っていて、秋田県側はへアーピンコーナーを使って一気に標高を上げる道、岩手県側は川に沿って徐々に下って行く道の構成で走り方が違ってくるのだが、何れにしても今回はウェット路面で走って楽しむというレベルではなかった。

慎重な走りで秋田県側の道を上って県境のトンネル内に入るといつもとは何か感じが違っていた。トンネルの中がやけに暗くて闇の先に見える出口もぼんやりとしか見えていないのだ。

スピードを落としゆっくりとトンネル出口まで来ると、岩手県側も雨が降っておりドンヨリとした空だった。岩手県側は狭く曲がりくねった道が続く為より慎重なライディングが要求されるのだが、標高が下がるに従って徐々に路面は乾いてくる。

つぶ沼の手前まで来ると路面は乾き空も明るくなってきた。前方からSS系のバイク4〜5台とOFF車2〜3台のグループが走って来て、我々とすれ違う。彼らはきっと我々の格好(雨具を着た姿)を見て焦ったに違いない。

雨具を着て走るライダーとすれ違った時、私も結構へこむ。
「アチャー、この先は雨か・・・。」 と。

反対に私は彼らの姿を見て確信した。
「やったぁ この先は晴れている。」 と。

つぶ沼まで走って後続を待つ。私とM氏は一緒だったが、その後ろのU氏とB氏が少しは離れていたのだ。ここまで来ると空には青空が広がっており、日差しは眩しいくらいだ。

山の向こうから隼とFZRの甲高いエキゾーストノートが聞こえてきたと思ったら、彼らは直ぐにやって来た。全車揃ったところで石淵ダムを目指したのだが、つぶ沼の下から胆沢ダムの工事現場まで道路工事車両の出入りが多いせいか路面に泥や小石が落ちていて走り辛かった。この状況は暫く続きそうである。

石淵ダムのパーキングは二ヵ所有るのだが、今回は手前の流れるトイレが有る方にバイクを停める。ここでバイクを下りた時、ドライ路面だったら結構膝にきている事が多いのだが、今回はどこも疲れていなかったし何の満足感も無かった。

しかし、雨雲から抜け出し青空の下での休憩は気持ち良く、皆さんの顔には笑みがこぼれる。

道の向かいの崖を見上げていたら、胆沢ダム完成時の満水時の水位を示す看板を発見する。 あの線を上流方向に引いていきその景色に当て嵌めてみると、途方もない水が貯水されそうな感じである。胆沢ダムは結構大規模なダムなのかもしれない。

休憩後、愛宕のGSを目指し走り出した我々は、胆沢ダム本体工事が行われている手前から新しく造られた山の上の道路に上がった後、また国道397号に下りる。この新しい道は、まだ完成していない下流側(愛宕付近)と上流側(つぶ沼付近)が一本に繋がればそこそこ楽しめる道になりそうなのだが、それは暫く先になりそうである。

愛宕に在るエッソGSに入り、ガソリンを給油する。このスタンドで給油するのは4〜5年ぶりになるが、我々が給油スタンドの前にバイクを止めると事務所の中からオバサンが出て来る。このオバサン見覚えのある以前からいるおばさんで、手馴れた様子で次々に我々のバイクに給油をしていく。

今回のバイク4台の内、レギュラー派が私とM氏、ハイオク派がU氏とB氏となっている。GSX−RもR1も指定のオクタン価(1ポイント足りない?)からするとハイオクを入れるべきなのだろうが、私はGSX−Rにレギューラーガソリンを入れている。

それはレギュラーでも全く問題なく走っているからなのだが、これがFZR400RR−SPとなるとそうはいかない。このバイクはメーカー指定のハイオク仕様車で、クロスミッションの為1速のギヤ比が高く設定されていて、発進時通常でも半クラッチを長く使用する。

以前ハイオクをおいてないGSで給油する事になりFZRにレギュラーを入れた事があったが、その時は走りづらいは燃費は悪いはで散々だった記憶がある。ハイオクには洗浄剤が入っているから燃焼室内やエキゾーストポートが綺麗に保たれると言うのだが、最近のガソリン価格の高騰(ハイオクは150円を越える?)では、私の場合ハイオクには手だ出ない?と言うか今のところ入れる気はないかな・・・。


鳴子 こけし資料館で休憩。


ツツジが咲いていて綺麗だったが、今頃咲くツツジって?

































そば処 寿屋 建物が新しくなっていた。


以前と変わらず駐車スペースは少なく、我々は横のスペースにバイクを押し込む。
▼100kmの一気走り
給油を終えた我々は、まずは宮城県の花山を目指して走り出す。石淵側に少し戻った信号から衣川に向かっった我々は、衣川沿いに静かな田園風景の中を走る。途中からトンネルを抜けて南股川沿いの道に出て今度は国道342号の本寺に向かう。私は景色を楽しみながらゆったりとバイクを走らせるこのルートが好きで、リラックスして走れて楽しかった。

国道342号に出て須川側に少し走り本寺橋を渡って栗駒方面に向かおうとすると、 「宮城県側に通り抜け出来ません。」 の立看板が出ていた。宮城県に抜けられなくても手前から国道457号に出る道が有った筈だが、その道を走ったのはもう10年以上も前の事で私は抜けられるかどうか自信が無かった。

もしも抜けられなかった場合、またここまで戻って来なければならないからその時の時間的ロスは大きいものになる。私は決断する。ここはリスクを取る事無く国道342号を厳美渓まで走り、そこから国道457号に出るルートを取る事にした。遠回りにはなるが時間を計算できるから、結局は後の予定への影響は少ないと判断したのである。

国道342号を厳美渓まで走った時本当ならばここで郭公だんごを食べたいところなのだが、今回はだんごが目的で厳美渓まで来た訳ではなく、私は泣く泣く厳美渓を素通りしたのでありました。


▼黒猫の祟り!?

国道457号を走って宮城県に入り、、岩ケ崎手前で一旦国道457号を離れ細倉マインパークを経て川口中町でまた国道457号に戻り、我々は鳴子を目指す。栗原市から大崎市に入る峠でそれは起こった。

狭いキツイコーナーが続く峠道の上りで、リヤタイヤが突然スーッと滑った。それは一瞬の事で大事にはならなかったのだが、何で滑ったのか理由が分からなかった。水やオイルが路面に有ったようには見えなかったから、何とも不思議なタイヤのスリップ事件であった。

私の後ろにいたM氏もU氏も私同様に滑ったと言うから何かが有った事は確かなのだが、三人共滑った理由を見出せなかった。我々が思い当たるのはU氏が轢いた黒猫の祟りぐらいしかなく、きっとそうだとの結論に達したのであります?

私はその直後、フルバンク中に前後輪共段差に落ちて転倒しそうになったのだが、これも黒猫の祟りだったのだろうか。しかし、これは私だけだったから多分違うと思うが、走っていると理解出来ない事がよく起きる。そんな時、FUNKYでは何かの祟りにする事が多々有る。FUNKYは祟りを受けるような悪行をしているとは到底思えないのだが・・・!?

鳴子の手前で国道47号に出た我々は、鳴子峡入口に在るこけし資料館のパーキングにバイクを止める。愛宕のGSを出てから100km、1時間20分の一気走りであった。さすがに尻が少し痛くなったが、色々なスチエーションの道を走って結構楽しい100kmであった。

折角の機会なので休憩を取りながらこけし資料館の中を見学する事にした。そこには昔からのこけしを作る道具や東北のこけしのサンプルが展示されおり、これから我々が向かう山形肘折温泉のこけしや秋田県湯沢市の木地山こけし等も展示されていた。一口にこけしと言っても頭の大きさや胴の太さ顔の表情等それぞれに特徴が有って、作られる土地それぞれにそれぞれのこけしが有る事を知る。


▼山形県肘折温泉へ

鳴子で休憩を取った後、我々は国道47号を西に走り山形県に入って肘折温泉を目指す。山形県に入り瀬見温泉近くに来ると最上川の支流である小国川の中に入って鮎釣りをする釣り人の姿が目に付くようになる。

瀬見温泉付近の小国川は、毎年鮎釣り大会が開かれるほど鮎釣りが盛んな所で、鮎を食べさせる処も沢山あるようだ。今回は鮎を食べる予定はないが、ここの鮎を目的にツーリングを計画してみよう等と考えながら私は走っていた。

瀬見温泉を過ぎて我々は新庄に向かう国道47号と別れ、舟形に向かう。この道は以前国道47号だった道で昔何回か走った事が有ったのだが、今は交通量も少ない田舎道になっていた。

舟形で国道13号に出た我々は山形新幹線の下を潜った後、国道13号のバイパスを跨いで肘折温泉に向かう。この県道を走るのが初めてだった私は迷わないか不安だったのだが、しっかり肘折温泉への表示看板が出ていて助かった。

田舎道でもしっかり看板が出ている肘折温泉、山形では重要な存在であるようだ。烏川を渡って国道458号に出た我々は、左折して肘折温泉に向かう。ここまで来れば肘折温泉はもう直ぐだ。

湯の台スキー場を過ぎ肘折トンネルを出ると肘折温泉に下る道に出る。右に折れて下って行くと鳥川沿いに建つ肘折温泉のこじんまりとした街が眼下に見えて来る。我々は12時過ぎ肘折温泉に到着する。


こちらは以前の寿屋。私はエアコンは無くても店内が暑くても、こちらの建物の方が趣があって好きだな。
我々はまず昼食のそばを食べる為、温泉街の川向こうに在る寿屋に向かう。syると久ぶりに訪れた寿屋は近代的な新しい建物に変わっており、おまけに隣の郵便局も新しくなっていた。

その変わりように驚いてしまった私だが、まずはバイクを停める場所を探す。建物は新しくなったが、駐車スペースは相変わらず少なく、結局建物横の狭いスペースに二台を押し込んで何とか駐車する事が出来た。

建物の中に入って見ると店内は今時の綺麗な造りで天井にはエアコンも設置されており、以前の昭和初期から一気に平成になってしまった感じである。

テーブル席と小上がりの席があったが、私はブーツを脱いでゆっくりしたかったので小上がりに席を確保する。



新しく明るい店内。


縁側で煙を吐くM氏。何かいい感じなんですが、以前の方が雰囲気が良かった!?


全員板そばです、一気に食べれば、普通の大人だったら食べ切れます。












緑の後姿が宮城ナンバーのソロライダー。
▼板そば 2.5人前 

長閑な風景  ※U氏撮影
以前来た時にも私は板そば(2.5人前)を食べたのだが、今回も美味しい蕎麦を存分に味合う為、板そばを注文する。皆さんも2.5人前と言う蕎麦の量に少し躊躇したようだったが、結局全員板そばをオーダーする。

そばが出て来るまで少し時間が有ったので、M氏は店の喫煙スペース(道路側に設けられた縁側)に行って煙を吐く事になった。この縁側では旅館の浴衣を着た通行人が休憩しながら川の流れを見ている姿も見られ、ゆったりとした時間を感じられる場所だった。

暫くして四枚の板そばが運ばれてきたのだが、建物も新しくなっていたが板そばの板(お盆)も真新しい板になっていた。私の好みとしては使い込まれたお盆で出てきた方がそばが美味しく感じるような気がしたのだが、それは人それぞれかな・・・。


艶があってコシのあるそばは美味です。
そば汁がそばに負けていると言う意見も有ったが・・・。

板そばと言うのは山形ではメニューによく見かけるが、秋田では見た事が無い。板そばはそばをお盆に盛った物なのだが、その由来を私は知らないのでここでは省略させていただきます。

板そばはお盆に盛られた大盛りそばとお考え頂ければ間違いないと思うのですが、このお盆の大きさが店によってまちまちで決まった大きさと言うのはないようで、以前他のお店で食べた時は通常の大盛りの量を盛った板そばも有ったから、板そばを注文する時はその量をお店の方に聞いてからにした方が良さそうである。

2.5人前で1300円と言う事なので1人前520円と割安感はあるのだが、私の感じでは2人前という感じかな? 板そばは板に盛られたそばを食べるというスタイルを楽しむ部分もあるのでそばの量は大きな問題ではないと思うが、小食の方だったら途中で休んでしまうと完食するのに少し苦労してしまう量かもしれない。

「板そばは一気に食べるのが完食の極意・・・?」


▼女性ソロライダー


宮城ナンバーのHONDAシャドー。
我々がそばを食べていると、先ほど外を走って行ったHONDAシャドウに乗った女性ライダーが店に入って来た。20歳代と思われる彼女は、グリーンのTシャツを着たスラりとしたスタイルの女性だった。

ここの寿屋さんは以前バイク雑誌に載った事がある(私はその雑誌を見たお客さんから聞いてこの店の存在を知った。)そうだが、こんな山の中に在るお蕎麦さんにわざわざ来るとは、我々同様結構物好きな?ライダーであるようだ。それもソロで・・・。

最近時々ソロでツーリングする女性ライダーに出会う事がある。彼女らは男性と一緒に走る女性ライダーとはチョット違った雰囲気を持っていて、その立ち振る舞いは自立した女性を感じさせ私には何か格好良く見えてしまう。

今回会った彼女もそんな雰囲気を持った女性だったのだが、私は声を掛ける事も無く店を出る。ところがその彼女に声を掛けた不届き者?がいたらしいのだ。その不届き者は彼女に声を掛け、彼女に板そばを勧めてきたと言うのではないか。

板そばを全部食べられるか不安がる彼女に、彼は一気に食べれば大丈夫と食べ方のアドバイクスまでしてきたらしいのだ。そんな彼の自慢話?を聞きかされる事になろうとは・・・。


▼道路に黒い帯

店の外に出てみると路上に真っ黒な帯が付いていて、それは隣の郵便局の中まで続いていた。そう言えばそばを食べている時、店の人がオイルがどうのこうのと言っていたのを思い出した。

その黒い帯は明らかに自動車のエンジンから洩れたオイルの帯で、その帯の長さからしてエンジンオイルは出尽くしているように思えたが、どこにもその車の姿は無く摩訶不思議な状況であった。

これだけ洩れればエンジンは当然焼き付く事が考えられ車はそう遠くまでは行けない筈なのだが、それらしい車の姿は無かったのである。それにしてもどうしてオイルが洩れたのであろうか。

考えられるケースの一つはオイルパンのドレンボルトが脱落してオイルが洩れた場合だが、それはオイル交換後ドレンボルトをしっかり閉めなかった場合が多い。しかし今回路上のオイルは真っ黒な古いオイルで、オイル交換後の脱落ではなそうである。

最も可能性の有るのはオイルパンを岩か何かに打ってオイルパンを割ったケースなのだが、オイルパンは厚い鉄板で作られているから凹む事はあっても割れる事は少ないから、もしそうだとしたら相当強く打ったものと思われる。

オイルが洩れた原因が何であろうと我々には関係ない事なのだが、我々のバイクがこの黒いオイルの帯に囲まれている事が問題だった。我々はこのオイルを踏まないでは外には出られない状況にあって、タイヤにオイルが付着する事は避けられない状況だったのである。

オイルが付着したタイヤはスリップ(特にハイパワー車)し易く、バイクが傾いていたら即スリップダウンと言う事も考えられる。)我々は慎重にオイル包囲網から抜け出し、肘折温泉共同浴場に向かった。




共同浴場横に在る神社前にバイクを置く。


温泉街の道路はバイクを駐車するスペースも無いくらい狭い。


番台?で入浴券を購入。1人200円


ここの温泉は無色透明な
















温泉から上がって体をクールダウン。


建物の後ろから源泉が出ているようである。
それも2種類の温泉が出ている?

▼肘折温泉共同浴場 上の湯
我々は古い温泉街の面影を残す肘折温泉街を抜けて 共同浴場 上の湯 の横に在った神社前にバイクを止める。

共同浴場は外壁の塗装工事中のようで足場が組まれ緑のネットで囲まれており、外観を見る事が出来なかったのは少し残念だったが、結構古そうな感じできっと趣のある外観をしているのだろう。

入口に行くとお嬢さんが座っていて入浴券を売っていて、入浴料は1人200円とお安い料金だった。共同浴場の良い所は料金が安いのと地元の人達との触れ合いなのだが、今回我々が入った時は誰も入っていない貸切状態であった。

それはそれでゆっくりできて大変良かったのだが、上の湯の建物内は歴史を感じさせる趣のある造りで、浴場の窓際にはお地蔵さんが立っていた。お地蔵さんの下からは温泉が流れ出ていて、コップが置いてあったので私は温泉を飲んでみる事にした。

するとこの温泉、全く味がしなかった。温泉の場合何らかの味がするのが普通なのだが、美味しい水を飲んだ時のようにスット体の中に入っていっていく美味しい?温泉だったのである。


無色透明な温泉の泉質は、ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉 低張性中性高温泉(上の湯1号源泉 50.0℃ pH6.4)だそうだが、私には刺激のない一見ただのお湯のように思えた。しかし、この温泉がただのお湯ではない事がB氏によって証明される事になるのである。

海の男(真っ黒なイメージ)であるB氏は昨日の休みに車を洗車したそうな。その時の彼は普段着ている半袖シャツではなく腕が肩まで出たシャツを着ていたのだと言う。その時間は2時間もなかったようなのだが紫外線が一年で一番強いこの時期の事、日頃紫外線を受けていなかった彼の二の腕は、真っ赤に日焼けしてしまったのであった。

一夜明けた今日、肘折温泉に入ろうとしたB氏は胸まで温泉に浸かったところで動きが止まった。そして彼は 「ウッ イテ
ー」 と悲鳴を発するのである。ただのお湯のように見えた温泉だが、彼の二の腕にしみ込んだ温泉は彼に悲鳴を上げさせるだけの効用を持っていたのである。

それでも彼はその痛みに耐えながら何回か肩まで温泉に浸かる事をトライする。しかしそれは難行苦行の何ものでもなく、彼はその度に悲鳴を上げたのでありました。せっかく温泉まで来てゆっくり肩まで温泉に浸かれないもどかしさは、傍から見ていてもそれはそれは哀れをさそうものでございました。


▼魔法のアイテム

温泉に入ったり上がったりしながらゆったりとした時間を過ごした我々(1名を除く)は、浴場から脱衣所に移動する。実は今回私は気温が高くなる事を予想して、ニューアイテムを用意してこのツーリングに望んでいた。

それはアルパインスターのサマーテックレースアンダーウエアーのシャツで、通気・吸汗・速乾性に優れ汗を掻いても快適に過ごせるというアイテムなのだが、私は温泉から上がって身体が熱くなった状態で試してみようと着ないで持参していたのだ。

ところが考える事は皆さん同じようで、メーカーは違うが皆さん同じ様な素材のアンダーウエアーを着てツーリングに参加していた事を私は脱衣所で知ってしまったのである。皆さんがそれを使用した感想は、風が通るとスースーして涼しく快適だと言うのだが、私はまだその効果を体感しておらず皆さんに遅れを取ってしまった格好だ。

そこで遅ればせながら着てみたのだが、私はこのインナーウエアーの欠点を発見する事になってしまった。このインナー、汗ばんだ肌に着ると滑りが悪く纏わり付いて大変着難い事が判明したのである。

このインナーウエアーは肌にピッタリとフィットして
汗をウエアー内に取り込み、それを繊維の表面から空気中に発散させその気化熱で涼しさを感じさせるシステムになっている為、肌に密着しないと本来の性能を発揮出来ない構造になっているのだ。

密着性のよいこのインナーは汗を掻く前に着る物であって、汗を掻いてから着てはいけない物のようなのだが、私は時間を掛けて何とか着る事に成功する。着てみると確かに体を冷やす効果が有るようで、いつもより速く体の熱りが収まったように感じた。

他のメンバーは下に穿くタイツにも新しいアイテムを用意していた。それは筋肉をサポートする事により疲れを軽減するというスポーツウエアーなのだが、ツーリングから帰って来てからの感想を聞いてみりと、いつもより下半身の疲れが少ないように感じると言っていたから、それなりに効果は有るようであった。

我々のツーリングはある意味スポーツのようなものだから、このような新しいアイテムがより快適なツーリングをサポートしてくれる時代になった事を感じた出来事だった。


▼二つの古い温泉街

共同浴場を出た我々は、バイクを停めた神社の前で休憩する。そこから温泉街を眺めていて、私は昨年訪れた銀山温泉の事を思い出していた。銀山温泉はここ肘折温泉と同様山形の古くからある温泉の一つだが、近くに鉱山があった事も共通する歴史ある温泉だ。

しかし、どちらも古い温泉街なのに二つの街並の雰囲気が少し違っている事を私は感じていた。銀山温泉はNHKの朝の連続テレビ おしん にも登場した温泉で、今でも昔の雰囲気を出来るだけ残そうと街全体で努力しているのを感じたのだが、ここ肘折温泉では建物の趣はそれぞれの宿やお店に任せられているような感じて、統一性が感じられないのだ。

どちらが良いとか悪いとかではないが、ヨーロッパの街並みのように歴史ある街の場合、ある程度統一性をもって街づくりをした方が訪れる者にとって印象に残る街になるのではないかと、先ほど行った寿屋さんの事もあって私は思ってしまったのであります。

美味しい蕎麦と温泉を堪能した我々は、肘折温泉を発ってスペシャルステージが待つ山形県側鳥海山登山口、滝ノ小屋口を目指して走り出す。




新庄市 升形のGS。


















大台野で休憩。向こうに日本海が見えていた。


鳥海山の山頂は雲の中。





終点の滝ノ小屋口まで来ると、雲が取れて青空が出て来た。


残雪と新緑のコントラストが美しい鳥海山。



ニッコウキスゲも咲いていて、これからが夏山本番の鳥海山。


撮影会を行ったが、腕が悪くて写真は今一つでした。


私はバーディーとツーリング!?
※B氏撮影
▼山形 鳥海山へ
国道458号を北上し国道47号に出た我々は、再び国道458号に入り真室川に向かう。JR陸羽西線の踏切を渡った先の信号で止まった時、ふと私はガソリンの事が気になって、隣に止まったM氏に給油してからの走行距離を聞いてみた。
(その時私のディスプレイは時間表示になっていた。GSX−Rのメーターは時間とトリップが切り替え式になっていて不便。)

すると既に200kmも走っていると言うではないか。ちょうど道路右側にだガソリンスタンドが在ったので、私は信号を右折してGSにバイクを入れる事にする。

私のGSX−Rに入ったガソリンは10リットル少々と少なく、燃費は20km/L近い高燃費であった。岩手県の愛宕でガソリンを入れてから殆どの区間がリエゾン区間だった為燃費が良かったのだが、これから先は鳥海山SSや仁賀保高原を走るから燃費は悪そうである。

給油を終えた我々は国道458号を北上、鮭川で県道に入りそのまま北上し真室川の街手前から国道344号に抜けて青沢トンネルに向かう。青沢トンネル付近の国道344号は狭い曲がりくねった道が続くが、昔の砂利道だった頃の事を思うと天国ようである。

国道344号から観音寺を通らず鳥海山登り口の草津に抜ける道をGoogle Earthで見つけていた私は、その入口を探しながら国道344号を走っていた。初めての道であった為それらしい道が右側に見えて来た時私は確信が持てず通り過ぎてしまった。

その入口に軽トラックの列が出来ていた事もあって通り過ぎてしまったのだが、そこから先にそれらしい道が現れなかった事から、私は先ほどの軽トラックが並んでいた道がその道であると判断、Uターンしてさきほどの道に引き返す。

するとさきほど道の入口に並んでいた軽トラック軍団が走って来た。これだけ多くの軽トラックが走っていた道であれば幹線?道路であろうと考えた私は、迷わずさきほどの道に左折する。以前この近くで同じ様な道を探していた時、間違って他人様の庭先に入り込んでUターンした経験を持つ私は、慎重になっていたのであります。

Google Earthで見た時広い道に見えたその山越えの道は、センターラインは有るものの狭い山道で思ったより長い道であった。 「大丈夫か?」 と不安になり掛けた時、眼下に見覚えのある草津の道が見えて来て、私はホッと胸を撫で下ろす。

草津の集落でハーレーのXLHとすれ違ったのだが、後から聞いた話だとM氏の顔見知りだったらしい。M氏はバイクとウエアーに見覚えがあって、以前鳥海山の鉾立で話した事がある酒田ナンバーのハーレーの彼であると確信したと言う。

我々がもう少し早くここに到着していれば、滝ノ小屋口の終点で感動的な再開シーンが見られたかもしれないのだが、残念ながらXLHの彼は走り去って行ったのでありました。

我々は大台野まで走って、これから始まるワインディングに備え休憩を取る事にした。ここ大台野からは眼下に日本海が見えていたが、これから向かう鳥海山山頂は雲に隠れ見えていなかった。しかし、厚い雲ではないので雲の中を走る事にはならないと思われる。しかし、それは行って見なければ分からない。

我々が休憩していると山の上の方からバイクのエキゾーストノートが聞こえてきて次第に近づいてくる。コーナーの出口に注目しているとカワサキのZX−9Rが飛び出して来た。しかしそのスピードに特筆するものはなく、我々の横を走り去って行った。

あのZX−9Rだったらワインディングの途中で遭遇しても良かったかなと思った私だったが、このワインディングには下りコーナーをステップから火花を散らして走るジモピーライダー(前回訪れた時に確認)もいるから、そんな方々には関わりを持ちたくないと私は思うのであります。


▼ワインディング

B氏がこれから先のワインディングを走るのは始めてで私が彼を先導して走る事にしたのだが、その事が後に私のGSX−Rに異変を発生させる事になろうとは思ってもいなかった。

休憩を終え、M氏を先頭にU氏、私、B氏の順番で滝ノ小屋口の終点を目指し走り出す。M氏は直ぐに私の前から消えて行ったのだが、U氏のペースが上がらずU氏と私とB氏が連なって走る事になってしまった。

後で聞いた話だと1速で上り始めて直ぐ、隼のリヤタイヤがスリップして怖い思いをしてしまったU氏は、直ぐに2速走行に切り替え安全運転に務めていたらしいのだ。確かに後ろから見ていたU氏の走りに精彩は無く、B氏にも突付かれる状況が終点まで続いていた。

この状況であればB氏の先導をU氏に任せ、私はM氏の後を追い掛けようかとも考えたのだが、先導すると言った手前そうも行かず私とGSX−Rはストレスを感じながらもその職務を最後までまっとうしたのであります。

終点の滝ノ小屋口駐車場に到着し私がGSX−RのIGスイッチを切った時、GSX−Rのストレスは頂点に達しアンダーカウルの下から液体を噴き出してしまったのである。

「アッ 液が洩れてる。」

U氏のその言葉に私がカウルの下を覗き込むと、緑のクーラントが勢いよく漏れ出していた。

上り坂の低速走行でGSX−Rのクーラントは沸騰寸前まで水温が上昇(私は水温計を見ていなかった。)していた模様で、私がエンジンを止めた事でウォーターポンプが止まり、クーラントが循環しない状態になってしまった為に水温が一気に上昇、クーラントが沸点を越えて沸騰し水蒸気がラジエターからリザーバータンクに流れ込みリザーバータンク内のクーラントを外に押し出してしまったようである。

もう少し走行スピードが速ければ水温もそれほどに上昇する事はなかったし、また終点に到着した時に直ぐにエンジンを止めず、アイドリングでエンジンを回して水温を下げてからエンジンを切ればクーラントを噴く事はなったと思われる。

いずれにしても出たのはリザーバータンク内のクーラントで、ラジエターから出たのは水蒸気でクーラントの量は殆ど減っていないと考えられ、走行には支障がないと判断そのまま走行する事にした。

秋田に帰ってクーラントの量を確認したところリザーバータンク内のクーラントは空だったが、ラジエター内のクーラント量は減っていなかった。クーラントをリザーバータンクのFULLラインまで補充した事は言うまでもない。


▼撮影会

前回(二年前)ここを訪れた時にもこの駐車場下のコーナーで写真撮影を行っていて、今回も写真を撮る事にした。写真撮影と言っても一人づつ一回通り過ぎるのを撮影するだけなので、タイミングが合わなければ良い写真は撮る事は出来ない。

カメラマンの腕もそれなりなので今回も満足出来る写真は撮影できなかった。それでも以前の写真と見比べる事でとフォームの違いが分かって良かったと言う意見も有って、同じ場所で写真撮影をする事の意義は有るようである。

撮影を終えた我々は、私を先頭にM氏、U氏、B氏の順でワインディングを下って行く。この道の路肩は狭く道路脇の草が路上まではみ出してきていて、コーナーの見通しが悪く慎重にワインディングを楽しんだ。

走り応えのあるワインディングを走り終えた私は、大台野の交差点で後続を待った。後ろにピタッとM氏が張り付いていてプレッシャーを感じながらの走りだったが、私は適度な疲労感と達成感を感じていた。

「バイクは楽しい!!」

全員揃った所で、今度は次のSS秋田県と山形県にまたがる鳥海ブールーラインに向かう。


悩むU氏。この後目から鱗のエアー抜き作戦。
(秋田県側鉾立のパーキングにて)
鳥海山の姿が幻想的だった。







▼鳥海ブルーラインを堪能す
山を下って遊佐に出た我々は、国道7号に出て吹浦のバイパスから鳥海ブルーラインに向かう。鳥海ブルーラインの山形県側は、秋田県側と違って黄線のはみ出し禁止区間が殆ど無く走り易いのだが、なんと今日のブルーライン山形県側上りでは我々の前に車は1台も現れなかったのある。

こんな事は本当に珍しい事なのだが、時間帯が遅かった(4時過ぎ)のが幸いしたのか我々は(私だけ!?)ブルーラインを堪能する事が出来たのあります。

私はこれまでGSX−Rで何回かこの道を走った事は有ったが、今回ほど楽しめた事はなかった。1速が殆どで時々2速を使ってブルーラインを駆け上る。この時後ろを見る余裕は殆ど無かったが、大平山荘を過ぎた辺りでミラーを覗き込むと後ろにいる筈のM氏の姿がなかった。

少しスピードを落とし様子をみるとM氏が少し遅れてやって来る。特に何が有った訳ではなさそうなのでペースを元に戻すと、彼との間隔がまた開いていった。後で聞いた話では、彼の得意とするスロットルを開けながら立ち上がる右の中速コーナーで、リヤタイヤがグリップせずに外に流れ出しペースを上げられなかったと言うのだ。

その原因が何であったのかは後に判明する事になるのだが、その時のM氏の心境は前を走る私に追い着こうとペースを上げるとリヤが滑り出して怖いし、さりとて離されるのは嫌だしと辛い状況であったらしい。

M氏の後ろを走るU氏もM氏と同じ様な状況にあったようで、彼はM氏から大きく遅れて走っていた。彼は我々が上の駐車場で待っている事は理解していたが、その駐車場が鉾立のパーキングである事までは理解していなかったようなのである。

途中に在る大平山荘の大きなパーキングまで来た時、彼は我々の姿を探したらしい。当然我々の姿はそこには無く不安を感じながらも彼はまた上に向かって走り出したのだが、彼の不安は我々が鉾立のパーキング入口で待っている姿を見るまで続いたと言う。

我々は鉾立のパーキングにバイクを止め、休憩を取る事にする。山形県の大台野からの一気走りであった。


▼思うように走れない原因とは?

私は走り切った満足感を感じながらバイクを降りたが、M氏やU氏の表情は冴えなかった。彼らは思うように走れない原因が何なのか、頭を悩ましていたのである。

そしてその原因究明が始まった。まず彼らのタイヤと私のタイヤの表面を比較してみる事から始める。そうすると私のリヤタイヤと彼らのリヤタイヤではサイドの溶け方が違っている事が分かった。彼らのサイドは表面が滑っているように滑らかで、私のタイヤとは明らかに違っていた。

M氏のタイヤは私は同じ ミシュラン パイロットパワー 2CT だから、この表面の違いの原因は空気圧の違いぐらいしか考えられず、彼に空気圧を聞いてみた。彼の言う空気圧は私の空気圧と殆ど変わらなかったが、彼の使用しているタイヤゲージは私の使用しているゲージより高く出る傾向にあるようで、実際は私の空気圧より高い空気圧で走っていたようだ。

市販されているタイヤゲージは安い物から高い物まで沢山出回っているが、数値の絶対値が正確なものとなるとそれなりに高価な物になる。個々のゲージの数値に関連性が薄い場合、聞いた数値が自分のゲージの数値と同じ値とは限らないから、自分のゲージの数値とタイヤの状態を頭に入れて空気圧を調整する事が必要となる。

一方のU氏も今日路面温度が上がる事を予想し空気圧をいつもより少し高目に調整して来ていたのだが、路面温度が思っていたほど上がらす空気圧を上げて来た事が裏目に出てしまったようである。

そこで二人はタイヤの空気を少し抜く事にした。しかし、空気を抜くと言ってのゲージが有るわけではないのであくまでも感で抜くのだが、日頃からこの位抜けばこの位下がるといった練習を行っておくと良いと思う。

結局M氏は、 「シュー
シッ」 位の空気を抜いたのだが、これだけで彼の走りは激変する事になる。

U氏は前後共に高めて来たと言うので、前後共に 「シューー シュシッ」 位の空気を抜いたのだが、彼もまた走りが激減する事になる。

恐るべし 「空気圧」 である。


▼FZR400RRの持病?

休憩を終えた我々は鉾立を発って象潟に向かって下り始める。ここでB氏を不幸が襲う。彼のFZRのエンジンがが突然12000回転以上回らなくなったのだ。実はこれは今日二回目の事で、朝秋田を出て南外に行く間も回らなくなっていた。

これはエンジンの速度リミッター(180km以上=12000回転で効く)が効いた為なのだが、このFZR400RRと言うバイク時々リミッターが効いてしまう事があるバイクなのだ。以前私が乗っていたリミッターを解除したFZR400RRも、12000以上回らなくなる事が時々あって困った事があった。それは突然やって来きて、そして突然直ってしまうところが厄介なのところで、メインスイッチを切ると直る場合も有るが、必ず直るとも限らない困った現象なのである。

そんな回らないエンジンではリッターバイクと一緒に走るには致命的だったのだが、秋田県側ブルーラインでは黄線がしっかり引かれているのが幸いして、そんなに大きな問題にはならなかった。しかし、仁賀保高原ではそうはいかなかったようである。


▼仁賀保高原でフルバンク

象潟から裏道を走って仁賀保に出た我々は、仁賀保高原に上って行く。先頭をM氏に任せ私はその後に着きそしてU氏・B氏が続く。深く回り込むコーナーを我々はフルバンクで回って行く。

私の後ろを走っていたU氏の証言によると、私のGSX−Rのフートレストは地面に着いているかのように見えていたと言う。実際は火花も音も出ていなかったから擦ってはいなかったのだが、私もエラク地面が近く感じていた事は確かだ。

このステージを得意とするM氏は未だかつて無い綺麗な走りでコーナーを回っており、私は彼からジリジリと離されていく。その走りはブルーラインの走りが嘘のように切れた走りで、タイヤの空気圧を抜いただけでこれだけ走りが変わるとは本当に驚きであった。

リヤタイヤが滑り出す恐怖から開放されたM氏は仁賀保高原を駆け下り、今度は四角井戸溜池からコロニー入口向かってペースを上げる。この道を私がM氏の真後ろで走るのは久しぶりで、私はM氏の走りを見ながら楽しい時間を過ごす事が出来た。

M氏のR1には今回のツーリングから新しいアイテムが装着されていて、それが今回の安定した走りに大きく寄与していたようである。それはタンクの前に装着されたステアリングダンパーで、今まで路面が荒れた場面では慎重なスロットル操作を強いられていたM氏は、ステダンのおかげでそんな時でもステアリングの振れを気にせずにスロットル操作を行う事が出来るようになったようで、その安心感がM氏の鋭い加速につながっていたようである。



本荘で今日3回目の給油。
※B氏撮影


















































R1の前で集合写真。
欲しい!? R1


ツーリングの最後数キロに参加したS氏、

▼本荘で給油 そして秋田まで一気
本荘のGSで我々は最後の給油を行ったのだが、ここでFZRが15Lタンクに15.3Lのガソリンを飲み込むと言う隠し技を披露する。15Lタンクと言っても上部にスペースが残っているから15.3L入っても不思議ではないのだが、問題はタンクの中に殆どガソリンが残っていなかった事である。

ガソリンを入れのがもう数キロ先だったら、FZRは確実に動きを止めていたと考えられ本当にヤバイ状況にあったようなのだ。走行距離は200kmと前回と変わらなかったのだが、今回の燃費が13.1km/Lと悪かったのが15.3L入った要因だった。

400ccと言う排気量(高回転を使わないと登らない)で鳥海山を2回も上ったり下りたりしたら燃費が悪いのは当然で、途中でガス欠にならなかったのは本当に幸運だったと神様に感謝すべきであろう。

給油後少し休憩を取った我々は、今日最後のSS出羽グリーンロードに向かう。本荘を出発する時点で時間は6時を回っており、日が長いこの時期とはいえ明るいうちに秋田に帰り着けるか私は心配になっていた。

国道105号の 道の駅おおうち 手前付近で、私はいつも西側の山に沈む夕日を見て日が暮れる時間(場所)を推測しているのだが、今日はいつもの山の位置に夕日の姿が無く慌ててしまった。

いつもこの場所で夕日を見る事になるのは秋が多く、今回のように夏に見る事はなかった為、太陽が沈む位置が違っている事に私は気付いていなかったのである。太陽を探すと夕日はいつもより北の山に既に隠れてしまっていたが、その部分が明るくなっていて沈んだ位置を知る事が出来た。

太陽が沈む位置で季節を感じた次第です。

国道105号から県道を通って大正寺に出た我々は、雄物川を渡って小種から出羽グリーンロードに入る。日は沈んでいたが空はまだ明るく、辺りはまだ走れる明るさが残っており最後のSSは充分楽しめそうで安心する。


▼会心の走り

そして県立公園への分岐を過ぎて最後のSSがスタートする。二番手を走っていたM氏はここでも私が先頭で行くと考えていたようなのだが、私は後ろに下がってM氏、U氏の後ろ三番手でこのSSをスタートする。

何故三番手かと言うと年寄りは暗くなってくると視力が落ちて(鳥目)スピード感覚が無くなる為、思うように走れなくなるからなのである。

先頭のM氏は一気にペースを上げそれにU氏が喰らい着く。私も二人に遅れまいとペースを上げたのだが、高速道の下を潜る辺りから徐々に二人との間隔が空いていく。

私の目が鳥目と言う事もあったが、今日の二人はこれまでとは違ったワンランク上の走りで、私はあっという間においていかれてしまったのである。特に今日のU氏は、特別だったように思う。

いつもならM氏に大きく置いて行かれる彼は、今日はM氏の後ろを離されずに走っていて、その間隔は広がる気配を見せなかった。私といえば二人の姿を捉えてはいたがそれは小さなテールランプだけで、夕闇迫るグリーンロードを高速で移動する二つの小さな赤い光は、何とも幻想的な世界を創りだしていた。

それと今回ここで私の長年の望みだったある事を体験する事が出来た。それはブラックマークが生み出されるその瞬間をこの目で確かめた事で、加速する隼のリヤタイヤから スーッ と出て来る黒い線は、何とも摩訶不思議な光景であった。


▼思い掛けない参加者

国道13号に出た我々は、いつものコースで秋田中央インター出口までやって来た時、インター出口から一台のバイク出て来て我々の前に入った。ここは片側二車線路で二車線共に車が並んで走っていたのだが、そのバイクはスピードを落とす事無く車の隙間を縫って走って行くではないか。

「カッチーン!」 頭の中で音がした。バイク乗りの風上にも置けない行為を見た私は、あのバイクを一瞬成敗してやろうかと考えたが、 止めた。 私があのバイクを追い掛ければ、彼と同じ行為をしなければならない事に気付いたからである。

彼とは車が走っていない所で遭遇したかったと、私は思うのでありました。

経法大附高 (いや違う 何だっけ? 思い出せない。) に行く信号で止まった時、M氏が私に向かって後ろを見るように促す。するとそこにはいる筈の無いR1に乗るS氏の姿が有った。何故彼がここにいるのか? 一瞬私は理解する時間が必要だったが、仕事で今日のツーリングに参加できなかった彼は、我々を出迎えに来てくれたようだった。

そして彼は次の信号で、甲高いエキゾーストノートと共に夕闇に消えていったのであります。私は知らなかったが、私は暫く前に彼とすれ違っていたのだと言う。対向車線から走ってくるバイクのヘッドライトの形と色を見て、M氏はそのバイクがS氏のR1である事が直ぐに分かったと言う。(私はバイクとすれ違った事さえ記憶に無かった。)

我々とすれ違ったS氏は直ぐにUターンして我々の後を追い掛け、この信号で後ろに着いたようだった。何とも嬉しい出迎えだったのだが、何故次の信号で走り去ったのかは不明である。

PM7:20、我々は無事秋田市に帰って来る事が出来た。途中雨で予定コースを変更した為久しぶりに600kmを越えるツーリングになってしまったが、充分走りを楽しむ事が出来たツーリングだったように思う。

皆さんも途中色々あったが、最終的には充分満足できるツーリングになったのではなかろうか。

次回のFUNKYツーリングは8月末となっていますのでFUNKYも夏休みに入りますが、その間に北海道に行く予定にしていますのでその時はまたレポートを書く予定にしています。



2007 FUNKY 4th.Touring






                                  Report by Ryuta


※ U氏撮影

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