大仏岳山頂にある池塘
に生み付けられた蛙の卵


秋田ヤブ山紀行 番外編

大仏岳1,166.8m)登山

2003年 6月15日(日) 

Report by Ryuta


  大 仏 岳 1166.8m> (太平山地)
 太平山地の中で白子森(1179.1m)、太平山(1170.6m)に次ぐ三番目の標高を持つ大仏岳(1166.8m)は、北秋田郡阿仁町と仙北郡西木村の郡境に位置し、登山道は西木村側からのものが存在はしていたが以前は整備はされておらず、ヤブ漕ぎ強いられる事が多かった。私が7年程前に西木村からのルートから登頂した時は、登山道と呼べるルートは無く笹ヤブの一部が掃われた跡が確認出来る程度のものであった。

 それが近年阿仁町側からのルートが開拓されたとの情報を得て今回の山行きとなった。阿仁側からの登山口は河北林道の比立内側から少し入った採石場の所から小岱倉沢沿いに走る林道に入りその終点部に登山口は在る。しかし、その終点部には大仏岳登山口の案内板も看板も無い。向かって右側の細い沢に架かる丸太橋の先にピンクのテープが確認出来るだけである。




    井出舞沢園地 キャンプ場にもなっている。
 2〜3日前に秋田も梅雨入りしたと思われるなどとテレビは報じていたが、朝起きたら今日の天気は正しく梅雨って感じの空模様である。ワイパーを動かす程ではないが何か湿った空気を感じながらセローの有る店まで軽トラで走る。

 今日は3台のセローで大仏岳に向かう予定であったが、1人にドクターストップが掛かり2台でのチャレッジとなった。店に着くと今日の相棒もやって来る。インターネットで雨雲のレーダー画像を見ると何とこれから向かう太平山から河北林道方面にエコーが出ている。

 これから向かう先で雨が降っているのが分かって雨具を着込んで秋田市出発する。太平の辺りから霧雨が降り始め、岩見三内から岩見ダムに出て河北林道に入る。以前はダムを過ぎると直ぐにOFFロードが始ったが、現在は井出舞沢園地手前まで舗装が進んでいてOFFロード好きとしてはチョット拍子抜けである。




 今日の相棒と山に行くのは久しぶりで四年前の太平山縦走以来である。彼は前日ルマン24時間を見てしまい寝付くのが遅くなったのと、AM4時過ぎに携帯に起されたとの事で3時間半しか寝ていないと言う。前回のツーリングの時もそうであったが、寝不足は彼の専売特許の様なものであまり気にしない事にする。

           郡境の峠はガスの中に霞んでいた。





 ここから先通行止の看板が井出舞沢園地駐車場の端に立っているのを見て、相棒は大丈夫かと尋ねてくる。この看板はほとんど1年中立っている物で、管理者の責任逃れの為に立ててあると思われる。

 実際に道路が崩れている事もあるが、二輪の場合は通過出来なかった事は無かった。2人いれば持ったり押したりして何とか通過出来るものである。

 井出舞沢園地から赤倉沢入口までの道は、勾配も緩く路面も比較的フラットなためアクセル全開で行くと、相棒はOFFのハイスピード走行に慣れていないためかミラーの中から消えて行く。

 ONロードではいつも相棒において行かれっぱなしなので、久しぶりに後ろを待つ気分を味わった。弱いものイジメの様でもあるが快感ではある。






 大滝を過ぎて道も狭く曲くねったものになってくる。浮石も多くなってスピードを落として慎重に進む。雪解け後の林道の整備は終了している様で、崖が崩れたり道が崩落している所は無く、所々修復して新しく砂利を敷いている所があった。AM7時半前に郡境の峠に到着する。

 峠に着いてセローから降りるなり相棒は、「面白レェー!」を連発して妙にハイテンション。OFFロード初心者でも有りまたセローに乗るのも久しぶりの彼は、今日のOFFロード走行でOFFの楽しさを知ってしまったようだ。

 休憩後、阿仁町比立内方向に下り始める。いつもなら左手に白子森がどっしりとした山容を見せるのだが、今日は雲に隠れて何も見えない。この辺の山は崩れやすい土壌でできている為道路が荒れている場合が多かったが、道の法面整備が進んでいて問題なく通過する。

 キャンプ場まで下りると道はフラットになり、またまたフルアクセルとなる。道が舗装になって少し進むと採石場が見えて来てそこを右折して小岱倉沢沿いの林道に入る。

      比立内側から河辺方面を見る。ここを左に入る。

 小岱倉沢沿いの林道終点に大仏岳登山口はある。しかしこの終点までの林道が結構長い。路面はフラットで走りやすくスピードはのるが、この林道では木材の伐採が行われていて盗難防止の為なのであろう道にワイヤーが張られていた。

 ロープには赤い紐が下がられてはいるが見難いので前を良く見て走らないとワイヤーロープに衝突する可能性があるので注意が必要である。ロープの支柱の脇には普通車が通れる位のスペースが有るので通行は可能である。








                                                             AM8:30登山口に到着する。







  駐車場右奧に登山口はある。木に提げられたリボンが登山口を示す。

 登山口のある林道終点の駐車スペースには、HONDAの軽バンが1台停まっていた。登山口といっても看板も何も無かったが、周りを見渡すと右奥に細い道が有ってその先に赤いリボンが下がっているのを発見し、この道が登山道で有ると理解する。

 雨は降ってはいなかったが、下が濡れていそうなので雨具を着たまま登り始める。登り始めは急勾配が続き結構キツイ。急勾配が一段落して体も温まったので雨具の上を脱ぐ。脱いだ上着は持って行くのも面倒なので登山道の横に置いて行き、帰りに回収する事にする。




 登山道は杉の人工林を抜けブナの森に入って行くと、一旦下りになり沢を渡りると再び登り始める。結構キツイ登りで足元を見つめながら右足の前に左足を出しその前に右足と変わりばんこに足を出して登って行く。途中雨具の下も脱いで更に登る。









 日頃の運動不足から息は上がるが、ゆっくりとしたペースで登って行く。木々の間からは鶯や小鳥のさえずりが聞え、街中では味わえない時間を楽しむ。

 しかし辺りにはガスが掛かっていて見通しが悪く、周りの山が見えないため位置が掴みづらい。

 1時間20分位で山頂からの尾根に出たようである。周りが見えないので確かではないが。


 尾根道を進むと痩せた尾根の鞍部に出る。鬱蒼としたブナの木々に囲まれたこの尾根道は、土でも岩でもなく木の枝や根っ子が絡み合って出来ていおり足場が安定せず大変歩きづらい。⇒

 またこの場所には多くの花が咲いていて目を楽しませてくれる。5月に登った赤倉岳の時もそうだったが、尾根の鞍部には花が多く咲くようである。



   花よりも艶やかな葉の緑が印象的であった。





                                              小さいが大きな葉をバックに可憐に咲く白い花















 幾つかピークを越え徐々に標高を上げて一つのピークの上に立った。するとそこには三角点の標石があった。

 「あれ、この辺に大仏岳以外に三角点あったっけ?」

 そして、その標石の横には白い看板が落ちていてそこには何やら文字が書いてあった。その文字を読んでビックリ。

 そこには 大佛岳一等三角点 国土地理院 と書かれてある。そしてその看板に見覚えがあるような?





 ここが大仏岳山頂? 山頂はもっと先だと思っていた私は直ぐには信じ難い状況であった。しかし、あらためて周りを見渡して見ると、確かに周りの景色に見覚えがあった。ここが山頂なら向こうに池塘があるはずと先に進むと、有りました池塘が2つ。

 我々は所要時間2時間で大仏岳山頂に立ってしまっていたようである。


1996年10月西木村側からに大仏岳に登った時のショッ
看板はその時からここに存在していたが、その時はまだ自力で立っていた。










                          1996年撮影 奥に踏み後が有るが現在は阿仁側からの登山道になっている。











                                                                          上の写真と同じ方向で撮った今回の写真。周りの笹ヤブは大きく刈られてしまったようだ。
西木村に下る登山道。この感じからすると整備されている様だが。


 我々は池塘の中に何やら不気味な物を発見する。袋の様な物が沢山つながった白い物体が水中に点在している。相棒によると蛙の卵だと言う。私の知っている蛙の卵はもっと小さな物だが、これが本当に蛙の卵だとしたらここからどれだけの数のオタマジャクシが生れてくるのだろうか。想像しただけで気持が悪くなってきた。











 写真が白くなっているのはガスが掛かっていたためである。




 大きい方の池塘の中にも白い塊が有り、そして木の枝にも白い物が有った。これも相棒によれば蛙の卵だと言う。確かにこの様な蛙の卵が有る事は、テレビで見た事があった。孵化したオタマジャクシは枝から池の中に落ちて泳ぎ出すのだ。

 どうも大仏岳山頂部は、蛙達のパラダイスであるようだ。

 確かに小鳥の囀りと共に蛙の鳴き声が何処からと無く聞えて来る。相棒によると牛蛙の声だと言う。

 相棒がこんなにも蛙に詳しいとは知らなかった。ここで蛙の声を聞きながら、少し早い昼食を取る。









 昼食の後、AM11時過ぎに山頂を発って下り始める。下りは視界が開けるので周りが良く見える。大仏岳への阿仁町側からの登山道を書き込んだ正確な地図が無かった為、我々も山頂に着くまでどこを歩いているのか良く分からなかった。

 そのため帰り道は地形を良く見ながら下り、地図と地形を照合して登山道の通る位置を頭に入れながら下る。

 大仏岳山頂から少し南に下った尾根の東側に、堀内明神と言う岩が突き出しているのを以前登った時に確認していたが、今日はガスで周りは何も見えないため諦める事にする。



 山頂から少し下った所で下から登って来た四人と一匹のパーティーに出会う。先頭は一匹の犬で我々が近づくとおびえて後ろに下がりご主人様の後ろに隠れてしまった。犬には我々が恐ろしい物に見えた様である。

 我々を駐車場に置いてあったバイクの人達だな思った様で声を掛けてくる。
 「もう直ぐ山頂ですよ。」と私も声を掛けて分かれた。

 犬は山を登って楽しいのだろうかなどと考えてしまったが、それは犬に聞いて見なければ分からないが、聞いても答えてはくれないだろう。





   この山にも立派なブナの木は有った。



















                                                                                                                                          登山道から林道終点駐車場を見る。

 休憩の後、私の下るペースが遅いのに痺れを切らしたのか、相棒が私より先に歩き始める。もうただただ下るだけなので、私もそのままマイペースで下って行く。

 彼とは年齢差が20歳位有り、年齢差、体力差等によるペースの違いは当然出て来る。グループで行動する場合は遅い人に合わせると言うが、ペースの速い人が遅いぺースに合わせると言うのも結構疲れるものだ。問題の無い時は別行動も必要であろう。

 大仏岳山頂から約1時間半で下の駐車場まで下って来た。駐車場にはワンちゃん連れの御一行の物と思われるHONDA シティが1台我々のセローの他に停まっていた。朝停まっていた軽バンの姿は消えている。



   井出舞沢園地の横に在る清水、三内の雫
 セローの所に戻って走る支度をする。相棒はタオルの上から虫に刺されたと私に額を見せる。彼は目の横も刺されていて大きく腫れている。腫れてはいるが痒くはないと言う。2〜3日してから痒くなるだなこれが。山に行って虫に刺される事はよくある事である。虫もいない山も反対に怖いかもしれない。

 下はまだ濡れていそうなので雨具の下だけを履いて走り出す。今朝来た河北林道を戻っていつもの温泉、太平の貝の沢温泉に向かう。

 郡境を越え、井出舞沢園地で休憩。この園地の横には清水が在って、多くの人達が水を汲みにきている。

 幾度となく訪れているこの園地だが、今までこの水を飲んだ事が無かったので今回は飲んで見る事にする。


 飲んで見ると 「ウゥーン」 どうなんでしょう。チョット硬水っぽい味に私には思えたが。

 私は今まで飲んだ水の中で一番美味しいと感じた水は、北海道余市に在るニッカウヰスキーで飲んだ水である。地下から汲み上げた水であるようだが、本当に何にも味の無い水でスッと体の中に染みていき、本当に美味いと感じる水であった。


 河北林道の走りでブラッシュガードにラッピングされた葉。






  貝の沢温泉にはPM3時前に着き、420円を払って浴場に行く。まず体を洗ってで汗と汚れを落とし、そして温泉で温まる。温泉から上がって新しい下着を着ると生き返った気がする。思わずビールの自販機の前に立っている自分がいた。予備の食料をツマミにビールを飲み干すと、いつの間にか2人共意識を失ってソファーに横になっていた。


 何時間そのままの状態で居たのか定かではないが、私が先に目を覚まし相棒を起して家に向かい、今日の山行きは終了した。




 大仏岳は標高の割りには頂上が平らな事もあって展望はよくない。しかし、今回天候が悪く行かなかった堀内明神からは、田沢湖、秋田駒ケ岳、八幡平の展望が得られる筈である。阿仁町側の登山コースからは大仏岳山頂部を望む事は難しい(今回ガスの為視界が開けず確認はしていない。)ようだが、約2時間で標高1166.8mの山頂に立てるのが魅力である。ゆっくり登っても2時間半あれば充分である。登山道の周りはブナの原生林が広がっていて森林浴を楽しみながらの登山が出来る。山頂には池塘も2つ有り蛙やトンボが登山者を出迎えてくれる事だろう。紅葉の時が大仏岳を訪れるベストシーズンかもしれない。

 今回のレポートを書く為インターネットで大仏岳に関する物を見てみたら、二つほど大仏岳に登った記事を見つけた。そこには地図に書き込まれた登山道が載っていたが、その道は我々が地図に書き込んだ道とは違っていた。それは山頂から西に延びる尾根に登山道が書き込まれており、そして二つの記事には登山道から見えるピークの写真が載っている。片方の写真説明には大仏岳の北に位置する1152mのピークであると書かれている。山頂から西に延びる尾根から見ていると思っているから、その尾根から見える北側のピークが1152mのピークなってしまうのは致し方無い事だろうと思う。しかしそう考えるとピークが登山道から真近に見えていると言う(我々はガスでこのピークは見ていないが)記述とは、西尾根から1152mピークまでの距離が結構ある事と矛盾する事になる。写真のピークは、我々が書いた登山道の向かいの尾根に在る865mのピークと考えるのが妥当であろう。また山頂から西に延びる尾根には鞍部が無い事を考え合わせても、我々の書いた登山道の線が正しいと確信する。しかしあくまでも周りが見えていない状況の中でのラインなので参考程度に止めて頂きたいと思う。
   参考1
   参考2



                                 
                                                       Report  by  Ryuta

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