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END

田沢湖畔バスターミナル
到着PM6:00

荷物を車に積んで帰り支度をしている我々の後ろでは、夕日が田沢湖の湖面をオレンジに染めていた。

八幡平、乳頭温泉縦走登山のエンディングとしては最高の映像であった。

大釜温泉の前にある乳頭温泉終点からPM5:30発のバスに乗って田沢湖畔バスターミナルに向かう。

車窓から見える田沢湖を見下ろしながら昨日と今日の2日間の事を思い出し、無事縦走を成し遂げた充実感に体の疲労感も心地良い。

大釜温泉は初めてであるが、フロントのおばさんの応対がイマイチ親切さが足りず感じが宜しくない。

温泉は鉄分を含んだ(多分)白濁したお湯で少し茶色っぽい。湯船はコンクリートで好みではなかった。湯船は木でなくてはいけません。

頭のてっぺんから足の先まできれいに洗ってすっきりして缶ジュースを飲む。コインを入れると冷たい飲み物が出てくる。こんな当り前の事が新鮮に感じる2日間であった。

蟹場への下りの途中で乳頭スキー場が見える。ここで休憩を取るか悩むが一気に下まで行くことを決断、先を急ぐ。しかし、これからが辛かった。足は完全に限界を越えおり重い足を引きずりながら蟹場を目指すが、足の辛さに不機嫌になっている自分に気付くがどうしようもない。

結局40分で到着、登山地図が正しかった。

登山道出口に一番近い大釜温泉で汗を流す事にする。
大釜温泉到着PM4:30

乳頭山と蟹場温泉の分岐にPM3:50到着

標示板によると蟹場まで30分とある。登山地図によると40分どちらが正確なのか、行って見なくては分からない。前にここを下りたことのあるK氏は40分位だと言う。

この10分間の差が今の我々の足にとって重大な意味を持つのである。40分なら一回の休憩、30分なら一気に行ける?

AM11:40休憩
後ろに大沢森が見える。

森吉山方向を望む。

PM4:00発 三ッ石山荘との分岐。 三ッ石山荘へは左方向。
我々は正面の道を行く。 これから先の道は笹薮が多いが、八瀬森山荘までは今年下刈りを行った様で歩き易かった。

小屋の前から八瀬森湿原方向を望む。
湿原の上には朝霧が立ち込め、遠くには乳頭山が見える。

秋田ヤブ山紀行
2001.8.15〜16
   八幡平〜乳頭温泉郷 縦走登山レポート

行程時間には40分〜60分に1回の休憩時間(5〜10分)を含みます。

8月15日車で秋田市をAM6:50出発、田沢湖畔にあるバスターミナルに向かう。

AM8:20ターミナル到着。ここからAM9:11発八幡平頂上行きのバスに乗って出発する。

(問合せ先)
羽後交通 田沢湖営業所 

tel 0187-43-1511

今回の縦走登山は、八幡平アスピーデラインの峠駐車場から大深岳、曲崎山、大白森を経由して乳頭温泉郷に下り、そこからバスで田沢湖畔バスターミナルに戻る計画である。

田沢湖畔駐車場にて、新しく購入したザックの背負い方のレクチャーをE氏から受けるM氏。

田沢湖畔から八幡平頂上終点まで2時間10分。
これだけ長くバスに乗ったのも久しぶりである。
バスの中で早めの昼食をとる。

E氏はバス後部の揺れの大きい外が見えにくい場所に座った為か、バスに酔って気分が悪くなる。この男の意外な弱点を発見する。

今回初めて我々と山に登ることになったK氏は身長180cm以上の長身で、ソロの日帰り登山は経験しているが、泊まりの登山は初体験。
K氏は夕食で冷たいビールを飲むのを楽しみにしていたが、ビールを冷たいまま夕方までもたせるのが課題となった。荷物をパッキングしている時K氏の目にとまった物は、床に敷くマットを丸めた中心部の丸い穴。ウレタンでできたこの穴は厚い断熱材で囲まれているわけでここにビールを入れておけば大丈夫と考え、冷凍庫に入れて凍らした500ml缶4個をその穴に突っ込んだ。誂えた様にピッタリと穴に納まったビール(正確には発泡酒)の行く末は?

30代後半2名、50代前半2名、合計4名のパーティーは、今回の縦走に体が耐えられるかが問題だ。何しろ私も含めて日頃殆ど運動をしていない連中のため太平山中岳の予行登山を行ったのだが、これだけ長い距離の縦走は初めてなのである。

Report by Ryuta

峠駐車場着 AM11:20

藤七温泉方向に車道を歩く。
目の前にモッコ岳(1,577.
m)が見える。
この山が後になって我々のスタート地点の
目印となった。

車道を離れ縦走路のスタート地点
AM11:40出発

モッコ岳の頂上を東にまいて諸桧岳手前の鞍部にある沼で初めての休憩。
PM0:12着

K氏は休憩して荷物を降ろすと気になるのがマットの中のビール。休憩の度に融け具合を確認するが、融けていないのを確認して顔をほころばせる。

モロビ岳山頂1,516m。ここで大深山荘に泊まるという3人のパーティーを追い抜くが、我々はここから先、乳頭温泉に下りるまで我々以外の人間に会う事はなかった。

PM0:39着

K氏のザックを直すE氏達の後ろには今日の行程と明日の目標である乳頭山の山々が見えている。
今日の宿泊地の八瀬森山荘まではまだまだ遠い。まして乳頭山までは考えたくもない遠さである。

モロビ岳とケンソ森の間にある石沼。PM1:10着日本庭園の様に池に岩を配置したその景色を見て、自然の造形美の素晴らしさにただただ感服する。

ケンソ森のピークを望む。この登りは結構きつかった。
山はもう秋がはじまっているのか赤トンボが乱れ飛んでいた。

縦走路の東側下には樹海ラインが走る。道路を走る車が見えるとまだ俗世間から抜け出せてない気になる。

大深山荘は少々古くて狭い。この後行く八瀬森山荘と比べると設備面でも見劣りする。

大深岳山頂は平らで展望はきかない。
        PM3:45着。

大深山荘から大深岳の登りは登山道が深い溝になっていて歩きずらい。傾斜はキツクは無いが、だらだらと一本調子に登っていて結構辛い。

この景色を見た時のメンバーの心中は、「今夜の宿はまだあんなに先なんだ。あんな所まで歩くのか?冗談キツイな!!」であったと思われるが、誰も口には出さない。

湿原地帯が終わると道は青森トドマツの深い森の中に入って、緩いアップダウンを繰り返しながらゆっくりと下って行く。岩手側がガレた尾根道で岩手県側にガスが発生して見通しが悪く少し心配するが、秋田県側は天気が良く安心する。

分岐から2時間で関東森の標石を通過、その20数分後に向かいの森に中に八瀬森山荘を発見する。

一旦八瀬森湿原に下りて湿原を横断し小川を渡って少し登った所に八瀬森山荘は建っていた。PM6:30到着

扉を開けて中に入ると今日の泊まり客は我々だけだった。

荷物を解き食事の支度を始めた頃には外は闇に包まれていた。予定より30分遅い到着であったが、明るい内に到着できて良かった。最悪ランプでの歩行も覚悟していたが、何とか間に合って安堵する。

八 瀬 森 山 荘 (避難小屋)  

この小屋は、建設されてまだ新しく中も広い。また備品が豊富に整っているのが特徴で、そしてそれらの物がみんな大切に使用されていて気持ちがいい。この小屋を利用する登山者のマナーの良さを感じる。

この小屋には、敷布団、掛け布団、毛布、等が常備されている。正確には数えなかったが8セット位はあったと思う。

また、飲料水専用ポリバケツ、柄杓、鍋(3つ)、サンダル(4足)傘、釣り用魚篭、タモ、ヤカン等々沢山の備品がある。

こんなに設備が整っているのが分かっていたら、シュラフを持ってくる必要は無かった。

水場は小屋を出てすぐの湿原に下りた所にある小川で、冷たくて美味しい水を飲める。

とにかく、周りの環境を含めてこんなに素晴らしい小屋は初めてである。

この小屋には主がいるようで我々が就寝すると主は活動を始めた。一階入口横のフロアーに小屋備え付けの布団ではなくあえて新しく買って持って来たシュラフに入って眠りに就いたK氏の足の上を主は行ったり来たり。足で蹴っ飛ばしたりして追い払っていた氏は、偶然枕もとにあった網を持ち出しバタン!!という大きな音と共に主の捕獲に成功する。ロウソクの薄明かりの中で捕獲した主の可愛い顔を見てしまったK氏は、主の処分方法に困ってしまった。処分方法の相談を持ち掛けられたE氏は二階のフロアーから主を小屋の外に網に入れたまま放置する事を提案、その案が満場一致で採択されK氏により実行された。朝になってK氏が確認したところによると、外に放置された網の中には主の姿はなく昨晩の主捕獲事件が現実のものであったかどうかは確認されていない。

この小屋で就寝する時は、食料を放置しない方が良さそうである。

夜中に雨音の様な音を聞いた我々は、起床とともに窓の外の空を確認する。外は爽やかな青空が広がっており一同安心する。昨晩の雨音は何であったのだろう。外に出て見ると、木々の葉に付いた夜露が雫となって葉を打ち音を立てている。小屋の屋根からも雫がポタポタと落ちている。木々に溜まった雫が風に吹かれて一斉に落され雨音の様に聞こえたのであろうか。

森の木々は雨が降らなくても毎晩空気の中から水の供給を受け、水分を補給しているのだ。大自然の営みの巧みさに感服してしまった。

曲崎山の登りに入ると森は青森トドマツからブナの森に変化する。見慣れた森の景色に何故か気持ちが安らぐ。

曲崎山を登り始めて20数分ブナの森を抜け出し突然展望が開ける。我々のスタート地点のモッコ岳から大深岳など昨日歩いた行程が一望出来る。あまりの景色のよさにここで休憩を取り展望を楽しむ事にする。

残念ながら岩手山は雲の中で見えなかったが、自分の歩いた行程を目の当たりにすると人間足をかわりばんこに出していれば何時か目的地に着くことを実感する。

曲崎山 1,333.8mの山頂はヤブの中。 AM8:30着

曲崎山から大沢森に下り始めると道はヤブの急な下りになる。右の写真正面のヤブは登山道で、ヤブの中には道は存在するのだが下りのヤブ道は足元が見えず大変気を使う。こんなヤブ道が30分近く続く。

正面奥に見えるのが秋田駒ケ岳、手前右はこれから向かう大白森。山頂部に大規模な湿原を持つ。

曲崎山の急な下りが終わった所に水場があり冷たい水で喉を潤す。

深い笹薮を漕ぎながら大沢森1,178mに到着。AM10:00休憩を取る。

大沢森から大白森への道は結構急な下りが長々と30分も続き膝にくる。この辺りから登山道は下刈りされておりヤブ漕ぎ無くなったが道端にゴミが目立ち始める。この近くまで林道が来ているためタケノコ採りが入っているようで、その連中が残したゴミと思われる。

大自然のタケノコを勝手に搾取して、ゴミを残していくタケノコ採りの連中は絶対に許せない。ゴミを持ち帰ろうと訴える営林局の看板が空しく木々に貼り付けられており、これもまた自然の景観を破壊している。

大沢森と大白森の鞍部にある宝仙湖から延びる林道への分岐。この道を進むと林道に出る。

AM10:50出発

山荘を見つけられないまま登り続け、林道分岐から50分歩いて休憩にする。山荘は無いのか?見つけられなかったのか?前の3人は何も発見出来なかったが最後尾のM氏は休憩地点の少し手前で右に入る小道が有ったと言う。いずれにしても、戻る気も無く先に進む事にするが小屋が容易に発見出来ないようでは安全面でも問題がある。もし大白森山荘に泊まる予定だったら不安になったであろう。早急に標識等の整備を望む。休憩後、何か割り切れない気持ちで上に向かって登り始める。

歩き始めて30分後、突然それは我々の前に現われた。いい加減登る事に飽きた頃、ヤブの中から飛び出た我々の前には大湿原が広がっていた。

雲の中の何も見えない世界から雲の上に出て急に視界が広がった気分で、思わず叫びそうになる。皆の顔もほころんでいる。

ヤブ道から飛び出た時の皆の顔。

後ろには昨日の出発地点モッコ岳が見える。

後ろにさっき通過した曲崎山がみえる。
その後ろに見返峠。

PM0:25大白森頂上到着
小休止してPM0:48出発

木道の先に昨日から歩いて来た道程が一望できる。

大白森山頂湿原の広大さが分かるショット。
天空の城ラピュタの地面はこんな感じなんだろうと思ってしまう。。

大白森から小白森山頂上までゆっくり歩いて40分。
名前の通り大白森よりこじんまりとした小白森山山頂湿原。
PM1:30到着。
大白森より笹や木々の侵略が進行しているようだ。

ここで遅くなった昼食を取る。

PM2:00出発。

鶴の湯分岐まで30分の下り、分岐から乳頭山方面に向かう。いきなりの急登に思わず上りきった所で休憩を取る。ほんの少しの登りでも足の限界に近い状態では無理は出来ない。各人の足と体力はもう限界を越えているものと思われ、下山するまで何とか持たせるペース配分を考えるが、休んでばかりいてはいつまでたっても着かないのでそのへんのあんばいが難しい。

登山道は広く下刈りされていてヤブ漕ぎの心配は無いが、道は尾根を忠実にトレースいていて無駄なアップ、ダウンが繰り返され、疲れた体には辛い。展望も無いこんなピークに登りたくもなく巻き道を造ってもらいたいものだ。

K氏の夕食時のお楽しみは、大事に持って来たビール。食事の前のグーッと一杯のビールが美味い。それが楽しみで持って来たビールであったが、マットの中から取り出されたビールはまだ凍っていた。マットの優秀な断熱性能が仇となってビールは飲める状態になく、水に入れて反対に温めることになってしまった。特に中に入った2本はほとんど融けていない状態で、マット保冷装置の優秀さを実証した格好である。この装置は暖かい物にも使用可能と思われ、使い方を工夫すればいろいろな物に応用可能な保温装置になりえると思われる。結局ビールの出番はM氏が持参したワインの後になり、酔いが回ってお腹も膨れた状態で飲んだため冷たいビールの印象が少し薄れてしまったのが残念であった。

ケンソ森山頂から出発地点の峠を見る。
結構歩いて来たのだが、先はまだ長い。

出発地点↓

ケンソ森頂上 PM2:02着
後ろの尾根をこれから歩く。

大深山荘 PM2:55着







大深岳下りから、明日行く曲崎山、大白森を望む。
今夜の宿八瀬森山荘は、八瀬森の手前下にある。

この尾根をこれから下って行く。所々に湿原が見える。
今夜の宿はこの尾根の先にある。



湿











分岐から緩い下りを歩き始めてから約10分で最初の湿原が現われる。この先、大小の湿原が次々と現われその度にその美しさに見とれてしまう我々であった。







この角度の乳頭山が一番それらしいかもしれない。

ニッコウキスゲの群落も見る事が出来た。

















PM0:10着
大白森山頂湿原

二階から下のフロアーを見る。

二階のフロアー

入口を入ると土間があり奥にテーブルがある。

登山道の脇にある水場

8月16日 八瀬森山荘
AM6:45出発

緩やかな八瀬森を越え曲崎山の手前で1回目の休憩。笹薮の下刈りが行われておらず、歩きずらい。朝露で全身ずぶ濡れである。
 AM7:40発

大沢森山頂もヤブに中。

林道分岐から大白森山荘まで30分というガイド地図の時間を見て山荘で昼食を取る事にして出発する。

10分位歩いて大白森山荘まで30分という標識を発見、また30分かよ!と思いながら先に進む。道は大白森の登りと思われる急な登りになるが大白森山荘での昼食を楽しみに一歩一歩足を進める。

大白森山荘の怪

小白森山山頂湿原