第4日目 9月23日(日)  置戸⇒芽登⇒上士幌⇒ナイタイ高原牧場⇒糠平⇒幌加温泉


 PM1:50置戸のいつものコンビニに到着し遅い昼食を取る。このコンビニは湯が出る蛇口があるのでK氏はカップ麺を食べる。3分待って麺を食べたK氏は「駄目だ・コリャ」と言ったかどうかは覚えていないが、お湯が温くて麺が硬かった。しかし今更温いお湯を入れても変わるべくも無く我慢して食べる・食べる。このコンビニにはテーブルと椅子ががあり、ゆっくり座って休憩出来るところがありがたい。毎年利用させてもらっているコンビニである。


 お腹が少し膨れたPM2:10、道道を通って芽登に向かう。この道は、鹿の子温泉付近から原生林の中を走るワインディングロードが40km以上続き、最後にはコーナーリングに疲れてしまいアクセルを戻したくなる程の高速ワインディングロードである。しかし今年は峠付近で工事が行われいたのと、路面がだいぶ荒れてきていてうねっている所が多く見うけられ走行には気を使った。

 コンビニを出た我々は、コンビニ前の信号を右折し道道に入る。2番手のM氏が少し遅れたためK氏がそれを待ち先頭と後ろ2台との間が空いてしまう。後続を待ちながらスロー走行で進むがなかなか後続が来ない。停止してしばらく待つが来ない。何かあったかとUターンして戻ると二台がやって来た。停止して状況を聞くが、K氏の目がどうのこうのと言っている様だが要領を得ない。

 しかし問題は無いとのことであったのでそのまま出発する。K氏が遅れた理由は、K氏が出発する時ビデオカメラのセットや何やらで手間取り急いだため、メガネをバイクに載せたまま出発してしまった。その事に信号を過ぎた所で気付き停まってメガネを探すが見つからずコンビニまで戻ったのだがそこにも無く、また信号まで戻った所で交差点の真ん中にメガネを発見してしまう。K氏は交差点の真ん中にR6を止め急いでメガネを拾ってメガネを掛ける。丁度そこにM氏が戻って来たのでK氏はUターンしたM氏と共に先頭を追ったのである。

 これがR6に搭載したビデオカメラの撮影画面から想像したK氏出遅れ事件の真相である。しかし今だにK氏にこの真相が正しいかどうかの確認は取れていない。この真相が正しいとすればいくら北海道の田舎町の国道とはいえ車は走っているわけで、交差点の真中に放置されたメガネが車に潰されなったのは奇跡に近い事であったと思われる。こんな事も有るので、メガネを掛けている人は予備を持ってツーリングに出かける様にしたいものだ。


 鹿の子温泉を過ぎて登りのワインディングになりペースを上げる。前半の2つの峠まではコーナーとコーナーの間の直線がそんなに長くなくスピードもそこそこの道が続く。車もそれなり走っていて何か有りそうな気がしてそのまま先頭を走って一つ目の峠を越え、二つ目の峠に差し掛かると道路工事が行われていてジャリ道が現われる。何か有りそうな気がしたのはこれだったのかもしれない。

 この峠を越えるとより高速のワインディングロードに道は変身する。ここで2台を前に出すと2台のYZFは放たれた矢の様に弾け飛んで行く。遅れてはならじと追いかけるがジリジリと離れていきついにコーナーの先に消えていった。1人旅を続けるサイレンサーハンガー締めのYZF750SPの前にタンデムの隼が現われる。後ろに乗っているのは小柄な女性と思われるが子供にも見える。ピッタリとライダーの背中に張り付いたタンデムライダーはライダーと一体となって原生林の景色を楽しみながら走っている様に見える。

 秋の日は傾くのが早くこの原生林の森の中を走っていると、日差しが右側の木々の間から射して道路に木々の影を落とし路面が縞模様になって見えるため走りづらくスピードを上げられない。この道は日の高い時か曇った日に走った方が楽しいのかもしれない。また走る方向も今回は置戸から芽登方向に走ったが、この方向だと遅いスピードから速いスピードのコースに移って行くため短く感じてしまうようだ。反対方向だと長い高速コースを走った後に比較的コーナーの多いコースになって集中力が続かなくなって長く感じてしまうようである。コース設定としては後者の方が満足感を多く得られると思う。

 隼を一瞬で追い越して先を急ぐと今度はXR250RとおぼしきOFF車を発見するが、これもあっという間にミラーの中で点となっていく。

 しばらく走るとスローダウンしたR6が目に飛び込んでくる。その前には耐久仕様のYZF750SPが止まっている。これは・・・不吉な予感!!バイクをM氏の100m位先に止めて振り返ると、M氏の横にR6を着けたK氏はM氏に状況を説明した模様でM氏がやって来る。やはりオイル漏れであった。遅れてK氏がやって来て○50km以上で走っていた時左足が滑った事でオイル漏れに気付いたと言う。

 オイルは左クランクケースの外側から多く漏れ出していてアンダーカウルから左フートレストがオイルまみれになっていてリタイヤにも少し付着していた。この状態では無理な走行出来ず応急処置をしなければならないが、オイルランプは点いていないと言う事なのでこの先の芽登手前にあるトイレ付きパーキングまで走ることにする。M氏はここで応急処置をすると考えた様だがここはいかにも山の中修理場所には不適当と判断しスピードを抑えて走れば走行には問題なくパーキングに向かう。しかしいつもなら直ぐに着いてしまうパーキングもなかなか着かず気が揉める。

  やっとの思いでパーキングに到着、早速R6のアンダーカウルを外してクランクケースの様子を見る。クランクケースに貼ったガムテープは熱とオイルでドロドロになっていてオイルが滴り落ちている。昨日はそんなに漏れていなかったのに何故?そこで大事な事を忘れていたのに気付く。昨日はオイルランプが点くほどオイルレベルが低かったが、今朝クランクケースはオイルを1Lも飲み込んで満腹状態になっていてオイルのレベルが割れ目の部分まできていて黙っていても漏れてくる状態にあったのである。

 しかし我々は修理道具としては昨日と同じガムテープと石鹸しか持ち合わせていない。ここで網走のホーマックでシリコンの充填材を買っておけばと後悔するが後の祭りと相成った。応急処置は昨日と同じ石鹸とガムテープで行った。まずウエスをガソリンタンクのガソリンにしみ込ませて割れ目部分のオイルをよく拭きとってから石鹸を塗り込みガムテープを貼る。この石鹸を塗り込む方法はガソリンタンクに穴が開いた時に使う方法で、クランクケースのオイル漏れに有効かどうかは分からない。今回の経験からすると単なる気休めと考えた方が良さそうである。本格的な修理は糠平のいつものGSでする事にして、GSに何か使える物がある事を期待する。

 応急処置をしている最中に先ほど追い越したXR250Rがパーキング入ってきて我々の隣にバイクを停めた。我々の作業を見て歩み寄って来たそのライダーは言い放った。「コケはったんですか?」ナイナイのヤベッチの口調をご想像願います。見りゃ分かるだろう。手伝う気も無いならほっとけ。こっちは作業に忙しくて気が立ってんだ。我々を心配して声を掛けてくれた関西人と思われるXR250Rのライダーさんつれない応対で気を悪くした事でしょう。本当に大人気ない事をしたと深く反省しております。

 しかし関西弁の「コケはったんですか?」の言葉は、東北人が聞くと「あんなスピードで走っているから転倒するんだ?」と聞こえてしまったんです。本当に。これって被害妄想かな? XR250Rのライダーは車の女性と一緒に走っているようで直ぐにそちらの方にに行ってしまったが、関西から車と一緒に来たとは考え難くチョッと不思議なオフローダーであった。

 そこにタンデムの隼が入って来てトイレを使って走り去っていった。後ろに乗っていたのは小柄な女性しかも三十路は過ぎていると見たがどうなんでしょう。

 我々が作業を終わった時、日もだいぶ傾きパーキングにはスクーター1台と車が1台止まっているだけだった。50分程のタイムロスをしてAM3:40ナイタイ高原牧場に向かって出発する。

 道道から国道241号に出て上士幌に向かう。糠平に直接行く場合はパーキングを過ぎて直ぐを右折すると国道273号の上士幌と糠平の中間地点にある清水谷に出ることができる。この道は一部狭い所も有るが全線舗装されており上士幌のバイパスとして使うには便利である。しかしこの道は全くの原野の中を走っていて蝦夷鹿がよく出没するので動物には充分な注意が必要である。

 国道241号からナイタイ高原牧場に行くには、上士幌の国道241号と国道273号の交差点手前の坂を下る手前にある右折車線を右折して直進、国道273号を横切って直進しT字路にぶつかって右折するとその道がナイタイ高原牧場に向かう道である。


 ナイタイ高原牧場は大きな山全体が牧場になっていて、牧場の中を走る2車線の道路は緑の絨毯と青空との間を絶妙な曲線を描いて中腹にあるレストハウスまで続いている。入口からレストハウスまで、景色とコーナーを楽しみながら約4分間(平均スピード約?00km)の至福の時間を堪能してPM4:10レストハウス横のパーキングにバイクを停める。




 地球が丸いことを実感することが出来る。

レストハウスの営業時間はPM4:30ま







 このフォード製のトラクターは10年以上前からこの場所
 に存在するが、ペイントされて小奇麗になっている。


      
夏場はジンギスカン用のコンロが並んでいるテラスにて
      ソフトクリームを食べる。ここのソフトクリームは一度食べ
      てみる事をお勧めするが、それにも増してここのジンギス
       カンは狂牛病の心配もなく牛ロースより美味くそして安い。




                          レストハウスからの展望


 レストハウスをPM4:35出発する。夕日に照らされて少しオレンジ色に化粧したナイタイ高原牧場の景色をゆっくりと楽しみながら下り、糠平のスタンドに向かう。




 若い方のピットマンNO,1
                        年上と思われるピットマンNO,2










 PM5:10、糠平のいつもの日石GS(日石三菱でもENEOSでも無い)に滑り込む。いつもの様に2人のピットマンが勢いよく飛び出してくるが、今回はR6のオイル漏れを修理するため立ち寄ったのでガソリンは明日入れるつもりでいた。オイル漏れを止めるシール材はないかと尋ねるとそんな物は無いとつれない返事。

 これはいけないとM氏にガソリンを入れてからどれ位走ったかを聞くと150kmは走ったとの返答。それなら今ガソリンを入れてもそこそこ入ると判断して、ピットマンに給油を依頼するとピットマンの顔が緩んだ。3台の給油をしながら毎年ここで給油している秋田ナンバーであることをアピールするとピットマンもFUNKYを思い出し良い雰囲気に。

 そこでもう一度シリコンのシール材は無いかと尋ねると、隙間を埋めたりするコーキング材のガンを工場の奥から探し出してくる。それそれそれで良いんです。耐油性ではないがシリコンのシール材には違い無く、これを使えばある程度の修理が可能と思われる。。

 ピットマンの御好意で無料でコーキング材をゲット、それを自賠責のビニール袋に入れてニッコリするK氏。



 目的を達した我々はPM5:20分糠平を出発して今夜の宿の幌加温泉に向かう。夕闇の迫る国道273号をゆったりとしたペースで走り幌加温泉にPM5:40に到着する。




 いつもの様に玄関先にバイクを止めた我々であったが、今日の玄関先はお客さんが大勢いて賑わっていた。親父さんもお客の対応で忙しそうである。バイクから荷物を降ろし親父さんに部屋まで案内してもらうが、今日は泊り客が多いためいつもの次の間付きの部屋ではなく階段を上って右に行った一番奥の左側の部屋であった。先ず温泉に入ってその後PM6:30から食事にすると言う事で親父さんにお願いする。




浴衣に着替えて一階の温泉に行く


左の入口が男性用
右の入口が女性用




 温泉の後は一階の部屋での夕食となった。


    いつもの和食メニューの夕食

  今日も無事に宿に着いたことに乾杯!

 さすがにK氏の胃袋を持ってしても幌加温泉の御櫃のお変わりは成らなかった。




 食後もう一度温泉に入って温まってから、R6の修理に取り掛かる。玄関先の柱を利用してバイクを右側に傾けオイルが漏れ出さないようにしてから、ガムテープを剥いでクランクケースカバーをガソリンで洗浄しピットマンからゲットしたシリコンのコーキング材を割れ目に擦り込み盛った。しかしここで間違いを犯してしまった。シリコンを厚く盛った方がオイルが洩れ難いと思ったのだが、厚く盛りすぎて硬化するのに時間が掛かってしまい次の日の朝になっても硬化しなかったためオイル漏れの原因となってしまった。シリコンを盛る場合は薄く盛った方が早く硬化して良いようだ。シリコンを盛った上からガムテープを貼ったが、これも硬化を遅らせた様でガムテープは走り出す前に貼った方が良さそうである。また今年の北海道は事の外寒く気温が低かったのも硬化を遅らせた原因と考えられる。

 修理の間ズーッと外にいたため体が冷えてしまい、また温泉に入ってしまう。さっき温泉に入った時タオルを脱衣所に置き忘れて来た様で脱衣所に行って見るとタオルは既に何者かに持ち去られていてなかった。今までここでこんな事はなかった。今日は満室で客は多いにしても客のモラルが成っていない。忘れ物を届けず自分の物にしてしまう神経が信じられない。例えそれがタダで貰ったタオル1本にしてもだ。結構怒ってしまいました。



お犬様のトイレに付き合うおばさん。









 温泉から上がって外に出てみると、お犬様とおばさんがいて、おばさんと暗闇の中で星を見上げながら立ち話をしてしまった。おばさんは私より10歳は上の年齢で、この温泉から出ることの少ない生活は単調ではあるがここで無ければ経験出来ない事もあるそうで、特に真冬に見る星空はこの上なく綺麗で是非一度奥さんと冬に来て見て下さいと誘われてしまった。ここの冬は雪が2mは積もり、また気温も低く大変だが冬は冬で良い所もあってここの生活を楽しんでいるとの事であった。おばさんと親父さんで切盛りしているこの宿がいつまでも営業を続け我々が利用できるよう願うばかりである。

 宗谷岬で買って持っていたビールを1階の冷凍庫で冷やしておいたのだが、そろそろ良い感じに冷えている頃と取り出して部屋に行く。飲み頃に冷えたビールでK氏と2人で乾杯し酔いが回ったところで布団を敷いて寝る。明日はR6のオイル漏れも止まって全開で三国峠を走る予定であったのだが。


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幌加温泉 〒080-1402北海道河東郡上士幌町幌加 TEL01564−4ー2167 1泊二食付5,900円(税込み)

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外でご主人様を待つ
YZF750SP