今回の北海道は道南と道央を回る予定にしていて参加台数は3台、排気量は250/750/1000ccとバラエティに富んだ構成になっている。排気量に差が有ると追い越しの加速やスピード域の違い等で色々と不都合な点も出て来るのだが、今回の北海道は道南/道央を巡るコースでも有り、また250ccをライディングするメンバーのスキルも高く問題無いと判断した。
32年前のFUNKY最初の北海道に私はRZ125(チャンバー付)で参加したのだが、その後も4サイクルマシンFZR250R[3LN]や2サイクルマシンTZR250R[3XV]の250ccで幾度か参加している。先日の4th.ツーリングに参加していたTZR250Rでビックバイク3台(隼/ブラックバード/ZRX1200)を先導して走った事も有ったりしたのだが、さすがに道北や道東を4サイクル2気筒マシンで走るのは、ライダー的にもマシン的にもストレスが大き過ぎるかもしれませんね・・・。
予定では秋田市をPM10:30に出発としていたのだが、皆さん早目に集合したのでPM10:15出発となった。北海道に渡る今回のフェリーは青森港発AM2:40の函館行きで、我々がフェリー乗り場に到着したのはAM1:30だったが、以前より乗船時間が早くなったのか乗船までそんなに時間が無かった。
途中、鼠ヶ関から高速を使えば別だが、全部下道でこのフェリーに乗る場合には、少し余裕をみて秋田市をPM10:00前に出るのが良いかもしれません。
2名のメンバーに見送りを受けた我々は青森港にに向かって出発、先ずは米内沢のローソーンを目指す。
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米内沢への道は五城目まで広域農道、その先は国道285号の走り慣れた道で、夜間走行とはいえ順調に走って米内沢のローソンに到着する。夜間とはいえ今日の秋田は蒸し暑く、冷房の効いた建物の外には出たくない暑さでしたね・・・。
休憩もそこそこに我々は米内沢を出発、国道285号を比内まで走り国道103号に出て左折、大館に向かう。比内から大館までの国道103号は自動車専用道の高速状態で、我々は大館北IC手前で国道7号に下りて青森を目指す。
矢立峠を越えて青森県に入ると幾分気温が低くなったが湿度が高く、空気がベトベトした感じで涼しいくは感じられませんでした。私は毎年のようにこの時期この道を走っているのだが、梅雨明け前の為か雨がパラつく事が多く、ついつい北海道の天気が気になってしまうですよねぇ・・・。
いつものように大鰐IC入口のサンクスで休憩を取る頃には日付が変わり、我々はサンクスで休憩後青森市のGSを目指し再び走り始める。弘前バイパス、浪岡バイパスと走って、我々は鶴ケ坂を越えて青森市に入る。
我々はいつも国道7号青森バイパスへ右折する信号の先に在る24時間営業のコスモ石油で給油するのだが、秋田市からここまで約200kmの距離があり、私のGSX-Rには8.77Lのガソリンが入った。燃費は23km/L弱、毎回この区間でGSX-Rは高燃費を記録するのだが、夜の国道を一定のスピードで走る走行パターンが高燃費の要因と考えられる。
GSX-R1000でも走り方によっては20km/L以上の燃費で走れるから、17リットルタンクのGSX-Rで省燃費走行すれば300km以上は走れる計算になるのだが、これまでワンタンクで300km走った経験は無い・・・かな?
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AM1:30前我々は青森港フェリーターミナルに到着したのだが、既にフェリーの乗船口には多くのバイクが列をなして乗船を待っていた。
我々は津軽海峡フェリーのターミナルビルに行き、インターネットで予約したQRコードを発券機にかざして乗船券をゲット、急いで乗船口の列に並ぶ。私の記憶では乗船はいつもAM1:50頃だったのだが、今回はそれよりも早く乗船が開始されるようである。
私やGSX-R750(以降R750)に取っては慣れたフェリーへの乗船だったが、ZZR250(以降ZZR)にとっては人生初めてのフェリー乗船で大分緊張している様子だった。このフェリーのバイク係留場所は、入口の有る甲板の一つ上の甲板で、船内のスロープを使って上に上がるシステムになっている。
ZZRには事前にシステムの話は伝えてあり、バイクは軽い250ccだし小回りも利く車体なので私はZZRの事は全く心配していなかったのだが、何事も初体験はドキドキするものなのですよね・・・!?
乗船はR750が並んでいた列から始まる。私はZZRよりもこれまでフェリー乗船時に幾つもの話題を提供していたR750の方を心配していたのだが、R750もこれまでの経験を生かしマイペースで乗船を無事終えたようである。
全員無事乗船を終え荷物を持って客室に向かったのだが、初めてのZZRは何処に行けば良いのか勝手が分からず、立ち止って私の指示を待っていた。最初は何でも親の指示で動いていた子供も、その内自分の判断で行動出来るようになるのだが、私はそんなZZRの姿を見て親の気持ちで愛おしくなってしまいましたね・・・。
客室の隅の場所を確保した我々は、着替えて先ずは寝る態勢を整える。今日のフェリーは連休初日としてはそれほど混雑もしておらず結構余裕の有るスペースを確保出来た。
以前はよく八戸から苫小牧西港へ向かうフェリーを利用したのものだが、連休時の混み様は別格(定員を水増ししてる・・?)で、客室は勿論通路にも人が溢れ上を向いて寝るのも困難な混雑ぶりは、この歳になるともう乗る気になりませんね。
秋田~苫小牧東港間にフェリーが就航するようになり、私は八戸~苫小牧西港間のフェリーに乗る事は無くなったのだが、秋田からのフェリーがなかったら、私の北海道ツーリングはこれほど長続きはしなかったかもしれませんね・・・。
各自、ビールとリキュール[発泡性]を買って今回の北海道ツーリングの無事を祈願し乾杯した我々は、アイマスクと耳栓を装着して早々に就寝するのであった。フェリーの航行時間は3時間40分程だが、寝られる時間は3時間も取れれば良い方で、明日の事を考えたら少しでも寝ておかないとね・・・。
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乾杯写真のシャッターを初めて押すZZR
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整形美人 |
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寝られたような寝ていないような中途半端な睡眠?から目を開けアイマスクを取ると時間はAM5:40?、客室内の灯りは点いており皆さん下船準備に忙しいそうにしていた。私も急いで下船の準備に取り掛かり、先ず北海道の天気が気になった私は外に出てみる。
船からは函館山が見えていて、雨は降っておらす雨具を着ないで走り出せそうである。雨具を着ないのは良かったが空は低い雲で覆われていて、この状況では今日の予定を考え直さなければならなかった。予定では大沼公園に立ち寄って駒ケ岳の景色を楽しむ事にしていたのだが、この雲の低さでは駒ケ岳が見えないのは明らかだったのである。
大沼公園に立ち寄った場合、国道5号で八雲まで行く退屈なルートを走る事になるのだが、駒ケ岳が見えないのでは大沼公園に行く意味は無く、私は退屈な国道5号を嫌って中山峠を越えて日本海側に出るルートへの変更を決断する。
我々のバイクの下船は、下の甲板の車が出た後にスロープが降ろされ上の車が下りた一番最後なので、フェリーが着岸しても我々が下りるまで暫く時間が掛かる。その為、特に急ぐ事もなかったのだが、フェリー初体験のメンバーもいる事だし下船作業の見学を兼ねて私は早目にバイクの所に向かった。
私のGSX-Rの後ろには、多額の改造費が掛かったと思われるZ1?が停められていたのだが、そのエンジンの下には何故かウエスが敷かれていた。
何の為のウエス(オイル漏れ対策?オイルが漏れている様子も無かったが・・・)なのかは分からなかったが、オーナーさんがそのウエスを拾ってエンジン回りを磨き始めたのを見て、私はこのZ1?は彼の愛人である事を確信した。
愛人はその外装やエンジンからカワサキのZ系で有る事は分かったが、ハッキリとその素性を確認出来る物は無かった。ホィール、フロントフォーク、マフラー、スイングアーム、ブレーキ、リヤショック等々ありとあらゆる部分が整形されており、愛人は原形を留めない整形美人さんだった。
人間様の整形では数千万も掛ける場合も有ると聞きますから、この愛人さんに掛けられた二百~三百万?の整形費用はまだお安いのかもしれません。
お金持ちが若い愛人(整形しているとは限らないが・・・)を連れているのを時偶見掛ける?事が有ったりするが、バイクの楽しみ方も多種多様ですからライダーが楽しいと感じる楽しみ方が一番なのだと思いますけどね・・・。
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初めての下船に緊張気味のZZR 手前に見えるのが整形美人
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カルチャーショック |
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車の下船が終わり、我々のバイクの下船が始まる。何回走っても船内の鉄板製スロープを走る時は緊張してしまう私だが、無事に1年ぶりの函館の地に降り立ち直ぐに国道に向かって走り出す。
すると津軽海峡フェリーターミナルから国道227号に直接(直進で)出る道が出来ていてビックリでした。去年がどうだったか年寄りの記憶は曖昧だが、何か拍子抜けでしたね・・・。
以前は国道と平行に走る道に出て左折すると国道227号に出て大沼公園や江差や木古内へ、右折すると函館市街へ向かう道で、それが長い間私の頭の中に刷り込まれておりました。
我々は国道227号に出て左折、そのまま国道227号を江差方面に向かい中山峠を目指す。路面は所々濡れてはいたが殆どがドライ路面で快適に走りを進める。
我々の前には数台の車が走っていたのだが、後方にいた1台が前の車に追い越しを掛け走って行く。我々もその後に続いたのだが、その車は追い着いた車に次々に追い越しを掛けて走っていたのだが、追い越された車の1台がその車を追い掛け始めた・・・。
そこから2台のバトル?が始まったのだが、三桁のスピードで繰り広げられたそのバトルは、中山峠を越えて厚沢部近くまで続くのでした。北海道では時々見られるそんなバトルを私は後ろから見守っていたのですが、北海道を走るのが初めてのZZRに取っては、結構なカルチャーショックだったようです。
厚沢部の道の駅でバイクを停めた時、
「さっきの車、普通に○○○㌔で走ってましたよね・・・!」
「北海道って凄いですねぇ・・・!」
秋田の道では有りえない光景を目の当たりにし、カルチャーショックを受けたZZRは興奮気味に話す。
あのような車は多くのリスクを一手に引き受けてくれますので、私はある程度の間隔を取りながらその後ろを走ったりもするのですが、北海道には北海道だけのローカルルール的なものが存在しますので、それを知らない道外ライダーの皆さんは、
[ 触らぬ神に祟りなし ] を決め込むのが一番だと思いますね・・・。
休憩を終え厚沢部を発った我々は、国道229号に出て日本海に沿って北上、瀬棚を目指す。国道229号は大成で海を離れ峠を越えて北檜山に出るのだが、峠に差し掛かると路面が濡れてきて、トンネルを抜けるとポルポツと雨が落ちてきた。
この峠を境に天候が変わる事を幾度か経験している私は雨が強くなる事を心配したのだが、何とか雨具を着る事無く瀬棚に到着、いつもの三本杉海水浴場のパーキングにバイクを停める。
すれ違う全てのライダーは雨具を着用しておりこの先で雨が降っているのは明らかだった。スマートフォンで雨雲の様子を確認するとこの先で青や黄色の雨雲が映し出されていたが、日本海上の西の空を見ると明るいところも有ったりして雨は限定的なような気もする・・・。
休憩を終えた我々は、雨具を着て風光明媚なワィンディングロードへと走り出したのだが、雨が強く降ったのは島牧付近のほんの5分程度でしたね・・・。我々は黒松内へ抜ける道道523号入口のパーキングに到着、路面が乾いているのを確認し峠越えの走りに備へて雨具を脱ぐ事にした。
この峠、下は何ともないが上に行くと雲が掛かって視界が悪かったりもするのだが、今回はそんな事も無く走りを充分に楽しむ事が出来ました。今日予定していたスペシャルステージの中でドライ路面で走れたのは結局ここだけで、ZZRに北海道の道の一端を体験してもらう事が出来たのは本当に良かったです。
峠を掛け下った我々は、黒松内で道道9号に出てから道道265号に入り、国道5号に出た所に在る 道の駅 くろまつない にバイクを停め、ピザで朝食を取る事にする。
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黒松内のピザは昼食要らず・・・・ |
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道の駅 くろまつない のピザ
厚手の生地はモチモチしていて美味しいのですが、
結構食べ応えが有りますのでご注意下さい。。
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道の駅 くろまつない のピザは、このところ毎年朝食に頂いている美味しいピザなのだが、結構ボリュームが有って腹持ちが良い。最初に食べた年は一人一枚を注文してしまい完食するのに苦労、次の年は一人半分にしたが少々足りなかった。
今回は三名なので一枚にするか二枚にするかでさんざん悩んだのだが、結局二枚注文する事にした。結論から言いますと、この一人当り2/3枚という量は少し多目でしたね。
三人で完食するのに少し苦労したのと、食後になかなかお腹が減らず、昼食を食べたい欲求が起きないという弊害?がありました。
昼食を抜いて距離を稼ぎたい時は有効な黒松内のピザですが、美味しい昼食を予定している場合は控え目にした方が良いかもしれません。
朝食として黒松内のピザを食べる場合、私は一人当り半分位が適量と思います。
ピザで膨れたお腹を抱え我々は黒松内を出発、国道5号を北上して蘭越のホクレンセルフGSで北海道最初の給油を行う。
蘭越から道道268号を新見温泉方面に上がり、新見温泉手前から道道66号に右折、ニセコ湯本温泉を目指した我々だったが、標高が上がるにつれ路面が次第に濡れてきて、湯本温泉を過ぎ神仙沼まで来ると小雨状態になってしまった。
それでも霧で前が見えない状態ではなく良かったのですが、楽しみにしていたニセコパノラマラインをドライ路面で走る事は出来ませんでした。
ウエット路面のニセコパノラマラインを慎重に下った我々はクレールチーズ前を通過し右折、裏パノラマラインを走ってワイス温泉に向かう。この道もドライで有ればそれなりに楽しめる結構長いワィンディングロードなのだが、我々はウエット路面を淡々と走って国道5号に出る。
国道7号は連休初日と有ってか結構車や観光バスが多く走っていて、我々はその流れに乗って余市へ向かう。ニセコの山から下りてからは上がっていた雨だが、稲穂トンネルを抜けるとまた降り出して仁木近くなると少し強くなってきた。しかし、ここで雨具を着なければならない程強くもなく、私は余市のニッカ蒸留所まで我慢する事にした。
余市の街が近づくといつものように車が渋滞するようになり、私はニッカ余市蒸留所に曲がる信号交差点までの数百メートルを路側帯(北海道の国道は結構路側帯が広い)を走って前に出る事にした。私は路側帯を走らないのを基本としているのだが、バイクの特性を生かす事が有効な場合は走る事も有ります。
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マッサン効果 |
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渋滞を抜けニッカ余市蒸留所の前に到着すると、駐車場入口前に空き待ちの車の列が出来ていた。私はこれまで何度となくここを訪れているが、駐車場の前に車が並んでいるのは今回が初めてだった。これもNHKのマッサンのお陰か・・・?
そうこうしていると車の整理をしていたスタッフがやって来て、バイクは車の横を通って中に入って良いと言ってくれる。言われるがままに中に入って行くと、昨年は無かった二輪専用の駐輪スペースが出来ていて、そこはガラ空きだった。
最近二輪専用の駐車スペースを設けている観光地が多くなってきていて(私の知っている中では北海道が顕著)我々ライダーにとっては大いに助かるのだが、炎天下の渋滞でノロノロ走行する疲労度を考えたらその位の優遇が有っても罰は当たらないと私は思いますけどね・・・。
二輪スペースにバイクを停めた私は、結構濡れてしまったレザーウェアーを拭く為タオルを持って屋根が掛かった通路へ急ぐ。
駐車場の車の数は多いとは感じなかった私だが、売店や無料休憩所が有るニッカ会館の人の多さは半端で無かった。売店のレジの前には最低でも15分は掛かりそうな長蛇の列が出来ていて、ウイスキーを並べる棚に商品が全く無い棚も有ったりして、マッサン効果で余市蒸留所は大変な事になっていました。
私は毎年のようにこの余市蒸留所を訪れ、冷房の利いた休憩室でゆっくりと休憩し、美味しいウイスキーを購入して宿でチビチビやるのを楽しみにしていたのですが、ここでしか売っていない限定のウイスキーは無くなっているし(カスクウヰスキーは昨年から無くなっていたが今年は余市ブランドのウイスキーも無くなっていた)、休憩ルームは騒がしくてゆっくり休憩も出来ない状態でした。
NHKは本当に余計な事をしてくれたと思ってしまった私だが、これもブームでしょうから数年経てば落ち着くのでしょうけど・・・どうなんでしょう・・・?
私がこの余市蒸留所を最初に訪れたのは、FUNKY最初の北海道の時でしたから32年前になりますが、基本的につい最近まで大きな変化は無かったように思います。
しかしここ最近のウイスキーブーム、止めはNHKのマッサンで余市蒸留所の環境は大きく変わってしまいました。私は以前のような静かで時間がゆっくりと流れているような環境に戻って欲しいと願っているのですが・・・・。 |

雨が降っても傘を持たない我々はヘルメットを脱ぐ事は出来ない。
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これからどうする・・・ |
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休憩室の窓から見える景色は以前と変わらないものだったが、雨はシトシトと降っていてスマートフォンで雨雲の様子を見ても積丹半島の雨は暫く上がりそうもなかった。こうなれば宿に直行して温泉に入ってゆっくりするのが一番なのだが、今宵の宿は先ほど走って来たニセコに在りまた戻らなければならなかった。
予定では余市から古平に出て積丹半島を横断する当丸峠を越え、神恵内に出て岩内からニセコパノラマラインを越えて宿に向かう事になっていた。宿に直行なら走って来た国道5号をニセコまで南下するのが一番の近道なのだが、それは単なる移動でしかなく、面白くも可笑しくも無いルートだった。
とは言え、予定のルートを走ってもウエット路面では楽しむ事は難しい状況で(私はウエット路面を走るのは結構好きだが・・・)、行っても苦労するのは分かっていた。私のように積丹半島や当丸峠を何回も走っていれば国道5号のルートも有りだったかもしれないが、今回は初めてのメンバーがいる事だし、楽しくは無いかもしれないが北海道の道を知っておく事も良いのではないかと考えた私は、予定通りのルートで宿に向かう事を決断する。
休憩を終えた(結局売店では何も買わなかった、否買えなかった)我々は、雨はこれ以上強くならないと読んで雨具の上だけを着てニッカ余市蒸留所を出発、柿崎商店前、ニッカの正面玄関前、道の駅 スペース・アップルよいち 前を通過、古平に向かう。古平までは殆ど雨も降らず路面も半乾き状態だったのだが、古平から道道998号に入り当丸峠を上り始めると路面はしっかりウエット路面に変わり、峠を下り始めると雨粒が大きくなってくる。
神恵内から国道342号を岩内に向かう頃には雨は本降りになってきて、私は雨具の下を履くため広い路肩を探したのだが、、海岸線を走る道は狭く適当な場所を見付けられないまま泊原発の手前まで走ってしまった。雨の強さに耐え切れず狭い路肩にバイクを止め雨具の下を着る事にしたのだが、下半身は結構湿った感じになってしまいました。
雨が更に強くなる中、我々は道道269号との信号交差点で車の後ろに止まったのだが、信号が変わっても前の車がなかなか動き出さなかった。信号の先を見ると車が沢山止まっていて進めない状態になっており、何かが有ったようなのだが私にはそれが何なのかは分からなかった。
雨が降る中その場で暫く待たされた後、ようやく車が動き出し我々は岩内に向かって走り出したのだが、私は気付かなかったが他のメンバーは路肩に落ちている車を目にしたようだ。これはあくまでも私の想像だが、それは直進車と右折車の接触事故と思われ、一方の車が2m近く下の路肩に転落したものと思われる。
警察も救急車もまだ来ていなかったので起きて間も無い事故のようでしたが、この強い雨が事故の要因になった事は大いに考えられ、雨中走行の難しさを考えさせられた事故でしたね・・・。
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ハイソに Tea Time |
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岩内の街に入り国道276号に左折、我々はニセコパノラマライン入口に在るクレールチーズに向かったのだが、私は道を間違え予定していた信号交差点の手前で右折、知らない道に入ってしまった。しかし、この道は知った道に囲まれた区域で、どこをどう走っても知った場所に出る筈で、適当に走っている内に知った道に出て事無きを得る。
クレールチーズ前のパーキングにバイクを停めた我々は、クレールチーズの軒先を借りて雨具を脱いだのだが、私は二階の ティールーム ケンブリッジ が営業しているか確認の為に中に入る。店内には誰も居なかったが、暫くして奥から妹さんが出て来て一年ぶりの挨拶を交わす。
このお店は基本的にお二人の姉妹が切り盛りしているお店で、イギリスに留学していた経験から紅茶のメニューが豊富(コーヒーも美味しい・・・)なお店である。
これまで我々はコーヒーを飲む事が多かったのだが、今回はハイソ?に紅茶を頂く事にした。紅茶の種類は20種類以上有って紅茶の知識の無い私はどれにするか迷ったのだが、名前を聞いた事の有ったダージリン茶を注文、他もメンバーも別のお茶(ウバ?ケニヤ?だったか忘れた)を注文する。
そして紅茶が運ばれて来る。紅茶の入ったポットはキルトのカバーで保温され、飲み頃を知らせる砂時計、回転する茶濾し、ティーカップとスプーン、そしてミルクポットがトレーに綺麗に並んでいる。
以前にも一度ここで紅茶を飲んだ事の有る私だが、その時どんなお茶を飲んだかの記憶は全く無い。以前の記憶で覚えているのは回転する茶濾しの使用方法で、最初は使い方が分からず皆で悩んだのだが、今回はその時の経験を生かしてスムーズにポットからティーカップに紅茶を注ぐ事が出来ました。
最初、妹さんが我々の相手をしてくれていたのですが、お姉様を呼んでくれたようでお姉様が顔を出してくれた。
お姉様は私の七年人生の先輩で、60歳になるとどうなるとか、65歳はどうだとか、その年その年でアドバイスを頂いている大先輩なのだが、今年もお元気なお顔を拝見できましたし、若かりし頃の武勇伝?等もお聞かせいただき、本当に楽しい一時を過ごさせて頂きました。
私が毎年北海道を訪れ毎年同じ場所を訪ねている理由の一つに、このような人との繋がりがあります。最初は挨拶する程度でも毎年顔を出していると数年後には顔を覚えてくれるようになり、親しくお話出来るような関係になっていくのです。
お姉様とお話するようになったのは7~8年前からだったと思いますが、出来ればまた来年もお顔を拝見出来ればと私は考えているのですが・・・果して来年のPETIT北海道は有るのでしょうか? それが問題ですね。
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お店は我々の貸し切り状態 お姉様と楽しい会話を楽しむ事が出来ました。
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二年ぶりのニセコ旅物語 |
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話は尽きなかったが宿のチェックインの時間も有り、我々は重い腰を上げ姉妹に別れを告げてクレールチーズを後にする。雨の降る中、我々は今朝下って来たニセコパノラマラインを上り始めたのだが、クレールチーズ前のパーキングを出る時いつも緊張感と期待感に気持ちが高ぶる私だが、今回は全くそんな気持ちも無く早く宿く事だけを考えていましたね・・・。
いつもはアッという間の神仙沼の遠い事遠い事、いつもは楽しい楽しい多くのコーナーもただ面倒なだけで、私は温泉に入ってゆっくりする事だけをイメージして走っていました。雨は降っていましたがガスが出ておらず、視界が確保されていましたのでまだ気は楽でしたが、やっとも思いでニセコの山を越えた我々は、昆布温泉を通過して直ぐ先に在る今宵の宿 ニセコ旅物語 に到着する。
私がこの宿に泊るのは三回目、バイクの停め場所も分かっているし勝手の分かっている宿は気が楽ですね。オーナーさんにも顔を知られてきたようで、気楽に声を掛けてくれる。我々の前に二台のバイクが止まっていて、我々以外にもライダーの泊り客がいるようである。
バイクを玄関先に停めて雨具を脱いだ我々だったが、その雨具の置き場に困ってしまった。オーナーさんからバイクの前にうず高く積まれた薪の上に干すよう指示された我々だったが、その雨具が翌朝一悶着起こす事になろうとはその時の私は思ってもいなかったのでした。
玄関に行くと愛想の良いよく喋る女性が我々を迎えてくれたのだが、一瞬奥さんかと思ったが歳が若いし誰かと思ったらZRX1200を愛車とするヘルパーさんでした。
我々は部屋に案内された後、速攻で着替えて温泉に行く態勢を整える。旅物語では車で近くの温泉に連れて行ってくれるサービスを行っているのだが、前回は昆布温泉の鯉川温泉旅館に連れて行ってもらっていた。
メンバーのR750の希望で今回も鯉川温泉旅館に行く事になったのだが、最近週末等の泊り客が多い日は日帰り入浴の終了時間が早められる(通常は20時まで)事が有るらしく、行ってみないと入れるかどうか分からないとオーナーさんは言う。
我々を含む5人のライダー(内女性2名)を載せた年季の入ったバンは、車で5分も掛からない鯉川温泉旅館に向かったのだが、鯉川温泉旅館に到着してみると玄関に貼り紙が・・・。それは立ち寄り湯終了の張り紙(今日は連休初日の土曜日でした)らしく、我々は他の温泉に向かう事になった。
ニセコグランドホテルの露天風呂は大きくて有名なのだが、私は一度入った事が有ったがその印象は良いものではなく、他の温泉を希望する。
そこでオーナーさんが案内してくれたのは、割引券(¥700⇒¥500)が利用できる大きくて立派なリゾートホテルだった・・・。
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大事件発生 |
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立派なホテルの入口でバンから降ろされた我々は、手にオーナーさんから渡された割引券を握りしめフロントへ向かう。フロントのカウンターには4~5名の男性スタッフが待ち構えていて我々に対応してくれたのだが、泊り客とも思えない雑多な5名の集団に怪訝な表情をみせる。
割引券を出して温泉に入りたいと告げると、スタッフの一人が割引券をマジマジと見て少し考え込む様子をみせ、私は一瞬この割引券は使えるのかオーナーさんを疑ってしまったのだが、
「お一人様 500円です・・・。」
の言葉にホッと胸を撫で下ろす。
我々は各自500円を支払って温泉に向かったのだが、ホテル内は豪華絢爛な造りで連休とあって部屋着を着た大勢の泊り客で溢れていた。1泊2食付きで5100円の宿に止まっている我々とは違う世界がそこには広がっていて、旅物語と黒マジックで書かれた茶色のゴムサンダルを履く私は、全くの場違いな存在でしたね。
温泉は広々とした内湯と3名入れば満杯状態の小さな露天風呂(女性風呂の露天は大きいらしい)とサウナとで構成されており、シャワーのお湯の出も良くさすがリゾートホテルと思わせる設備内容であった。私は全身隈なく洗って汗を落とし、ZZRと共に温泉に入って今日有った事等を話しゆっくりとした時間を過ごすのでした。
これで500円なら大満足と私は温泉から上がって服を着て帰ろうとしたのだが・・・?
「無い 無い 無い!? 」
どこをどう探しても下駄箱に置いておいた旅物語と黒マジックで書かれた茶色のゴムサンダルが見付からなかった。
「マジかよ・・・!」 旅物語さんには失礼だが、年季の入った茶色のゴムサンだよ・・・。
「持って行くか・・・!」 名前も書いて有るのに・・・。
あのサンダルを持って行く人間の気持ちを想像すら出来なかった私だが、問題はこれからどうするかだった。
ホテル内の床は分厚い絨毯で覆われておりますので素足で歩いても何ら問題は無いのですが、それから先をどうするかだった。ホテルを出てバンに乗るまでは地面は平坦(大理石?)なので問題無いとして、旅物語でバンから下りた先の砂利道をどうする?
しかし、宿に戻ればバンまで履き物を持って来てもらう事も可能で、何とかなるか・・・。
私は覚悟を決めて絨毯の上を素足で歩き始める。それにつけてもサンダルを持って行った奴に私は腹が立っていた。
その気持ちをどこかで発散したくなった私は、割引日帰り入浴客の立場ですがフロントへサンダルが盗まれた事を告げに行く。
フロントの対応は事務的なもので、盗まれたサンダルの特徴を聞かれた私は事細かく旅物語と黒マジックで書かれた茶色のゴムサンダルの事を説明したのだが、何か虚しかった。
一応届を終えて戻ろうとした私の所に、ホテルのスタッフの一人が下駄を持ってやって来る。
「これを履いて下さい。」
「えぇ・・! いいんですか・・・?」
「これを履いて帰って下さい。返さなくても結構ですから・・・。」
それは小判型の鼻緒の付いた黒い下駄(新しくは無かったが・・・)だったが、私は有り難くそのお言葉に甘える事にいたしました。さすが大リゾートホテルの社員教育は違いますね。割引で500円の日帰り入浴の客に対しても、お客の気持ちを考えた対応に私は感服いたしました。
因みに、その素晴らしい対応のホテルは、ニセコ昆布温泉 ホテル 甘露の森 さんであります。本当にお世話になりました。
私としては旅物語さんに対しサンダルの管理責任が有りますからその賠償をどうするか悩んでいたのですが、この下駄でチャラにしてもらえたら有り難いと考えてしまいましたね・・・。
※このレポートを書いていて、さっき風呂に入っている時にふと思い付いたのだが、今回のゴムサン盗難事件の背景に最近の中国人の北海道ブームが有るのではないかと・・・? こんな事が結構有ると考えると、ホテルスタッフの迅速な対応も納得がいくし、普通あんなゴムサン(失礼)誰も持っていかないしょ・・・。
以前秋田港から苫小牧東港に向かうフェリーの中で、私の結構くたびれたスリッパを持っていこうとする外人さん(欧米系)がいたのを思い出しました。その時は他のメンバーの機転で盗難を免れたのですが、外人さんの傾向として履物に対して興味が旺盛なのかもしれませんね・・・?
時間になってオーナーさんが我々を迎えに来てくれたのだが、私はカラコロ音を立てながらバンに乗り込む。オーナーさんに今回のゴムサン盗難事件を報告、ゴムサンが下駄に変わった了承をえる。
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ハーレーは汚して何ぼ・・・ |
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温泉から宿に戻って来ると、出掛ける時は無かったハーレーが1台雨に打たれながら停まっていた。我々のバイクは一応屋根が有る場所に停められているのだが、一番高そうなバイクが雨に当たっている姿に、私はハーレーが可愛そうに見えてしまった・・・。
そのハーレーのオーナーさん(年齢は50歳代後半?)とは食事の後の飲み会でお話しする機会が有ったのだが、その話をするとご本人は全く気にする様子もなく、フェリーの中で出会った整形美人のオーナーさんとは対極にいる方でした。バイクも色々、オーナーも色々、多様に楽しめるところがバイクの良い所なんだと思いましたね・・・。
そのハーレーのオーナーさんとは翌朝の出発時、ある事でまた会話を交わす事になるのだが、そのお話は明日のレポートで・・・。
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夕食から飲み会へ |
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旅物語の夕食が始まる。ここの夕食は結構変わった物が出る(以前泊った時はサバのシャブシャブだった)のだが、今回は鹿肉だった。最近道内ではエゾ鹿の数が急増、それに伴って駆除する頭数も増えて鹿肉も手軽に入手出来る様になっているようだ。
20年以上前鹿追の宿でに食べた鹿肉は独自の臭みが有ったりしたのだが、最近の鹿肉は処理方法が確立され美味しく頂けるようになっていて、今回の鹿肉も脂っぽくもなく美味しいお肉でした。
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ニセコ旅物語の夕食 黒い器の中の肉は鹿肉、臭みも無くうまく調理された肉であっさりとした美味しい鹿肉だった。
ここにはご飯が写っていないが、ご飯が柔らか過ぎなのが残念だったかな・・・。
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乾杯で北海道一日目を締め括る。何故か私だけ缶ビール
奥のタンクトップの御人がハーレー乗りの曲者!?
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旅物語では夕食後、宿代や飲み代を清算してから飲み会へ移行するのだが、次の日に泊った増毛館も同じ方式を取っていて、とほ宿系で流行っている清算方式なのかもしれません。
清算を終えた後、ライダーのお客が集って飲み会が始まる。参加ライダーは女性3名(ヘルパーを含む)/男性5名(オーナーを含む)の合計8名。私が停めたGSX-Rの隣にはBMWの650?とHONDAのXR250?が停まっていて、私はBMWに男性、HONDAの女性が乗っていると思っていたら、話を聞くと女性がBMWのオーナーさんだった。
ほっそりとした彼女は、BMWのシートをアンコ抜きして乗っているようなのだが、サイドスタンドを出す時に引っ掛かって立ちゴケしてしまったらしい。大きいバイクに乗りたい気持ちは分かるが、女性の場合軽くて(乗っていたのはBMW中最軽量バイク?)足着き性の良いバイクが一番だと私は思いますけどね。
一方、HONDAに乗る彼は恰幅がよくBMWがとっても似合う体格だったのだが、軽量なXR250?に乗っていてとほ宿系情報にとても詳しい人物だった。我々が明日増毛の増毛館に泊る事を話すと増毛館情報を色々と提供してくれたのだが、この手のディープな情報に詳しい人って結構出会いますよねぇ・・・・。
我々の明日の予定は、ニセコから中山峠を越え札幌に出て、一年前に亡くなったメンバーの実家を訪ねお線香を手向けた後、当別から北竜のひまわり畑を観光して日本海の港町 増毛 に宿を取る事になっている。
明日の朝、晴れていれば朝食前にニセコの山を走ろうかと考えていた私だが、予報では雨が上がるのは午後からでそれも無理っぽい・・・。
我々は明日に備え早目に部屋に戻って寝る事にしたのだが、
「ドライのパノラマライン 走りてぇ・・・!」
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