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2007年9月15日(土) 第2日目

空は曇り空だが・・・。






占冠の道の駅 ここで雨具を着る。
▼曇り空でスタートしたのだが・・・

お母さんとツーショット
いつものように私は六時前には起きて外を見ると、雨は降っていなかったが今にも降り出しそうな空模様だ。天気予報を見ると予報は昨日と殆ど変わっておらず、雨の降り出しは午後からとなっていた。

雨は西から降りだし東に移動して行く。我々の今日のコースも西から東に向かって走って行く予定で、雨が降り出す前にスタートすれば今日一日雨に当たらずに済むかもしれないと考えた私は、出発時間を予定(AM8:00)を30分早める事を決め、U氏に告げる。

早めに朝食を取った我々は、お母さんに見送られ7時40分に穂別のポレポーレを出発、まずは占冠を目指して国道274号に向かっのだが、穂別を出ると直ぐに路面が濡れて来たではないか。雨は降ってはいないが、明らかに少し前まで雨が降っていたと思われる道路状況だった。

先ほど見た天気予報は何だったのか。雨は午後からと言っていたのにここではもう降っているではないか。悪い予感が・・・。

国道274号出て右折、日高方面に向かうと次第に霧雨が降ってきて路面は完全なウエットに変ってしまった。日高の手前から占冠に出る新しい道が出来ていて、我々は占冠市街という青看板に従って左折する。

川沿いの真新しい道は雨に濡れいかにも滑りそうで慎重な走りとなったが、広くはないが晴れていれば快適に走れそうな道である。道は赤岩青巌峡を橋で渡りトンネルの中に吸い込まれて行くのだが、一瞬見えた赤岩青巌峡は赤い岩がゴロゴロしている独自の景観を持つ渓谷のようだった。

トンネルを抜け暫く走ると 道の駅 占冠 前の信号に出る。ここで我々は道の駅の軒先を借りて雨具を着る事にする。考えてみるとこの道の駅に立ち寄った時、我々は殆どと言ったら大げさだが雨具を着ているような気がする。雨と 道の駅 占冠、何かと縁が有りそうである。


▼雨と共に東へ

占冠からは雨も本格的になってきて、晴れていれば楽しいトマムまでの道もただの移動区間になってしまった。そして今この区間では自動車道の工事が行われいており、工事車両が多数走っているだけでなく土を路上に撒き散らしていてバイクが汚れてしまった。

今年中に道東自動車道が十勝清水からトマムまで延びるとの事で工事も急ピッチに行われていたようなのだが、占冠〜トマム間のSSはこの工事が占冠まで完成するまで限定的なものになりそうである。私の感じでは、まだ二年位は掛かりそう・・・かな?

国道38号に出ると雨は小降りになり、狩勝峠を下り始める頃には雨は殆ど上がってきた。雨は上がっても路面が濡れていれば狩勝峠は楽しくはないし、まして下りは追い越し車線が無いから車に追い着いた時点で走りは終了する。

サホロリゾートを過ぎサーキットの在る所から左折し鹿追に向かった我々は、鹿追で国道274号に出て上士幌の出る。ここで給油と休憩を取る事にした。

北海道での初めての給油だったが、雨で低い回転で流す走行が続いていた為リッター当たり20kmを越える高燃費であった。燃費が良いのはありがたいが、こうウエット路面だけだと楽しくないし飽きてくる。

我々と共に東に向かっていると思われる雨雲を振り切って、我々は乾いた路面を走る事が出来るのであろうか。いずれにしても今宵の宿の在る 根室 花咲港 まではまだ350km近くもあって、これがまた雨の中の走行になるとしたら・・・。

しかし、花咲港の宿に行けば花咲ガニが食べられるいうニンジンをぶら下げられている我々は、宿まで行くというモチベーションだけは失なわずに上士幌のGSを出発する。

我々は上士幌から本別に向かう為、国道241号を横切って 道の駅 しほろ温泉 を目指す。私がこの道を走るのは久しぶり(それも反対方向)でそれは20世紀の事になるのだが、道路が新しくなっている事も有って勇足に左折する所を行き過ぎてしまった。

道の駅の前から左に入る道を探していた私は勇足(本別)の青看板を探していたのだが、その看板が出ておらず行き過ぎてしまったのだ。先ほど前を走っていたトラックが左折した道が勇足への道だと理解した私は、道の駅のパーキングにバイクを入れUターンして勇足に向かう。

この勇足までの道も新しくなっていて途中道を間違えたのではないかと不安になった私だったが、無事勇足に出て国道242号に入り左折し本別に向かう。我々は本別から国道274号に入り白糠に向かったのだが、小康状態だった雨がまた降り出してくる。

この国道274号は釧勝トンネル前後を含め楽しいワインディングが続くのだが、今日は雨、私はこの路面がドライだったらとの思いを胸に走っていた。ところが以前はそんなに走っていなかったダンプトラックが沢山走っていて、道路脇からダンプがチョコチョコ出て来るではないか。

その為ダンプの撒き散らす泥が路面を汚し、我々のバイクはその泥でまたすっかり汚れてしまったのである。この国道274号沿いでは、トマム付近同様に自動車道の工事が行われている模様で、この状態はまだ数年間は続きそうな感じである。従ってFUNKYのSSとしての使用はトマム同様限定的なものとなりそうである。

そぼ降る雨の中、峠を越えた我々は淡々と雨の中を走る。私の後ろを走るU氏は私ほど雨中走行の経験が無くどうしても私から送れぎみになっていて、ふとミラーを覗くとその姿が消えている事が時々あった。

雨の走行では、どこまでが大丈夫でどこからが危険なのかの判断が難しく、コーナーの進入から立ち上がりまでのスピードをどの程度に設定するかは経験がものを言う。今回私は特にスピードを上げて走っていた訳ではなかったが、彼に言わせると私は有り得ないスピードでコーナーに進入していたようだ。



大楽毛 の道の駅
ここまでウエット路面。




雨中走行でバイクは泥だらけ。



ソフトクリームスタンドで買った期待のソフト。
味は普通でガッカリ!



モーターハングを見つめる私。この天気じゃねぇ。
白糠に近づくと空も明るくなってきて路面も乾き始め、このまま路面が乾く事を願った我々だったが、国道36号に出て釧路に向かうとまた雨が落ちてきてしまった。我々は大楽毛の手前に在る 道の駅 しらぬか恋問 で休憩する事にした。

時間は正午少し前でここで昼食とも考えたのだが、レストランに行ってメニューを見るとインパクトの有る物は無く、お腹もそんなに空いたという状態でもなかったので、ここではソフトを食べて済まし昼食は厚岸まで我慢する事にした。。

洒落た形のスタンドで若い女性スタッフに勧められたソフトは、ピンク色した綺麗なソフトだったのだが、味はどこにでも売っている普通のソフトだった。

相棒は違う種類のミントカラーのソフトを食べたのだが、味は変わらなかったようで普通のソフトだったらしい。

ソフトを食べていると遠くの方からモーターハングライダーが飛んで来て我々の前でUターンして戻って行った。少し離れた所で試乗会のようなものを行っているようで、天気が良ければ気持ち良さそうだったが、この天気では・・・。

空を飛ぶ物を見るといつも思うのだが、私は地面に着いていない乗り物に興味が無いのは何故なんだろう。他人が運転する飛行機等に乗るのは全く問題無いのだが、水の中や空気の中など固体でない物を相手に自分自身で機械をコントロールする事に自信が持てないと言うか恐怖心があるのだ。

これは私がカナヅチ(泳が苦手)である事が関係するのかのしれないが、バイクでは新幹線のようなスピードで走っても恐怖心が湧かない私も、体が宙に浮いた状態は苦手なのである。

「だって皆さん、考えてみて下さい」
「手で掴めない物が相手
では、直ぐには止まれないでしょ。」

しかし、これも食わず嫌いと言う面も有るのかもしれないのだが・・・。



釧路湿原はかろうじて見えた。



バイクは偉い。
こんな天候でも文句も言わず走る。



迷い込んだコッタロ湿原












厚岸の道の駅からの景色。
厚岸湾と厚岸湖が見える。




厚岸の牡蠣を堪能!

※画像をクリックすると拡大画像が見られます。



画像をクリックすると拡大します。



雨は上がったが、路面はウエット。
▼まだまだ続く雨中走行
次の目的地は厚岸、道の駅 厚岸グルメパーク で牡蠣の昼食を食べる事を楽しみに、我々は霧雨が降る中まずは鶴居村を目指して走り出す。大楽毛付近の国道38号は高速道のように整備されていて以前通った時と大きく様変わりしていたが、北海道という所は公共事業が大幅に削減されている昨今でも彼方此方で道路工事が行われていて驚いてしまう。

国家予算は緊縮でもガソリン税等の自動車関連特別会計には潤沢に予算が有るようで、北海道各地で道路工事が行われておりそれが北海道の経済を支えているようである。

釧路湿原の周りを回る道に出た我々は、釧路湿原を見下ろす駐車場にバイクを停める。釧路湿原は雨で霞んではいたが、かろうじて我々にその姿を見せてくれたいて、その広大な湿原の一端を見る事が出来た。

鶴居村に行く途中の草原で丹頂鶴らしき姿を見たのだが、雨も降っておりわざわざバイクを停めて写真を撮るという気にもなれなかった私はそのまま先を急ぐ。鶴居村役場の近くから釧路湿原に入ろうとしたのだが、入口が良く分からず断念、そのまま国道274号に戻る。

国道274号を標茶方向に走って行くとコッタロ湿原へ向かう道が右側に現れ、私は思わずその道に入ってしまった。厚岸に向かうには国道274号をそのまま走って標茶に出れば早かったのだが、以前にその道を走った事があった私は新しい景色を求めて脇道に入ってみたのである。

入ってみたその道は舗装はされているものの路上に草が等間隔で生えているような北海道の典型的な田舎道で、周りの景色もまた北海道ならではのもので道の両側には牧草地が延々と続いていた。人っこ一人、車一台走っていない道を我々はゆっくりと進んで行く。

左に標茶の標識が出ていたのを見送った私は、コッタロ湿原・塘路の表示を見て左折しその道を進む。するとコッタロ湿原の看板が出て来て左にコッタロ湿原が木々の間から垣間見られた。

このコッタロ湿原は釧路湿原の中でも一番北に位置する湿原であるらしいのだが、バイクで走りながらではその景色を観賞するまでには至らなかった。そのまま進んでいくと左にパーキングが現れその先の道は砂利道になっていた。

私にこの雨の中GSX−Rに乗って砂利道を走る根性は無く、パーキングに入ってUターン今来た道を引き返す。こうなれば先ほど見た標茶への道に戻るしかなく我々はその道に入り標茶に向かう。

途中から左に入り国道391号に出た我々は、標茶で厚岸に抜ける道に入り牡蠣が待つ厚岸に急いだ。急ぐといってもこの道の交通量は多く車の後ろで殆どの時間を過ごしたのだが、厚岸に近づく従い雨も止み路面も乾いてくる。


▼厚岸の牡蠣三昧の昼食


厚岸の生牡蠣 ’美味い
※マウスポインターを写真に当てると拡大します。


身が プリプリ で トロッ と甘い!


牡蠣フライ


和風牡蠣のパスタ


牡蠣グラタン
PM2:00 我々は厚岸の道の駅 厚岸グルメパークに到着する。早速、雨具を抜いて二階のレストランに向かった我々は、レストラン前で考え込んでしまった。

ウインドウに並ぶサンプルには牡蠣を使ったメニューが沢山並んでいて、どれを食べるべきかで悩んでしまったのだ。

すると相棒が入口横に置かれた特別企画のボードをみて、
 「これがお徳かも!?」
と指差す。

我々の希望として生牡蠣は絶対に食べたかったのだが、それだけでは昼食にはならないから他の牡蠣料理も選ばなければならなかった。

そこで見付けたのがこの
 「かきバラエティセット」
であった。

・生牡蠣と
・カキフライ
・和風カキパスタ
・カキグランタンン

四品のセットで
単品合計価格¥4,650−が
特別セット価格¥3,980−となっていた。

この際、牡蠣三昧の食事で一人当たり二千円を切る価格なら絶対にお得との結論に達した我々は、二人で 「かきバラエティセット」をオーダーする事にした。

最初に運ばれて来たのは生牡蠣が8個載せられた皿で、これを単品で頼むと1500円の物だ。厚岸にはこれより少し高価な
 <厚岸かきえもん 一粒240円> 
と言う生牡蠣が有るらしいのだが、今回我々が食べたのは普通の生牡蠣である。

こ普通の生牡蠣が美味かった。私がこれまで食べた牡蠣の中ではダントツ一位の美味さで、身がプリプリしていてトロッと甘い感じの味だった。

普通の牡蠣でこの味だから、<かきえもん>はどんな味なんだろう。機会が有ったら<かきえもん>も食べてみたい気はするが、こんな場合大抵は味に大きな違いは無いものなのだが・・・。

養殖の牡蠣は広島や宮城産が有名だが、生牡蠣では厚岸産の牡蠣が一番だと知り合いの板前さんが行っていたが、食べてみて分るような気がする。

岩牡蠣は秋田象潟産の岩牡蠣が一番だともその板前さんは言っていたが、我々が支払った値段を聞い彼は 「安ッ・・」 と驚いていた。我々の支払った金額は、秋田では有り得ない値段であったらしい。

この生牡蠣を食べただけでも、厚岸まで昼食を我慢した甲斐が有ったと言うものである。

我々は生牡蠣の他、カキフライやカキグラタン等も食べたのだが、どれも入っている牡蠣が新鮮で美味かった。

本当のところ、私は厚岸の牡蠣にあまり期待していなかったのだが、今回昼食を遅らせて食べたのは大正解だった。皆さんも厚岸を訪れる機会が有りましたら、是非 道の駅  厚岸グルメランド で生牡蠣を召し上がってみて下さい。期待を裏切らない美味しさだと思います。

牡蠣が苦手な方も食べられると思いますよ。 本当に・・・。










霧多布岬
霧は無かったが、見通しは悪い。



霧多布岬に立ち寄って記念写真。


北海道の岬はこんな感じが多い。




















































今夜の焼酎はホワイトリカー。
▼束の間のドライ路面
我々が遅い昼食を終え外に出て見ると路面が乾き始めていた。空はまだ灰色だったが我々は雨具を着ないで出発する事にする。ここ厚岸から宿のある花咲港まではまだ100kmほど有って、途中には走りを楽しめる道もあるからこのまま路面が乾いていく事を願って走り出す。

上士幌で給油してから200km以上走っていた我々はここで給油する事にしたのだが、我々が通った道には厚岸大橋を渡るまでGSが無く焦ってしまった。厚岸大橋を渡ると数件のGSが次々と現れたから、厚岸の町の中心地は国道44号がはしる厚岸大橋手前ではなく橋を渡った先であるようだ。

橋を渡るといかにも魚港らしい街並みが続いており、我々はその街並みをゆっくりと抜け広くはないが森の中を走るワインディングに入って行った。そしてそこで、我々は今日始めてドライ路面(一部ハーフウエット)の走りを楽しむ事が出来たのである。

この道を走るのも久しぶりで5〜6年ぶりだったと思うが、以前と比べると路面が綺麗になっているし道幅も一部広くなっていて大変走り易くなっていた。今日は車も少なく先ほどまでの雨中走行の憂さをチョッとだけ晴らす事が出来たのである。

琵琶瀬の展望台を過ぎると道は海辺の琵琶瀬の街に下りて行きSSは終了、我々はマッタリとしたペースで霧立布の街に入って行く。するとそこでは中学生?によるマラソン大会?が行われており、交差点に警官が立って交通整理をしていた。

私は不覚にもその警官に気を取られ左折する交差点を直進してしまったのである。私がその間違いに気付いたのは霧立布岬への案内板を見付けた時で、間違った交差点から数キロ走ってしまっていた。

予定では霧立布岬には寄る予定は無かったのだが、ここまで来てしまった状態から引き返すのも何なので、私は霧立布岬に立ち寄る事に予定を変更し岬に向かう。

私が霧立布岬に立ち寄ったのはそれはもう十数年も前の事だったと思うが、久しぶりの霧立布岬は駐車場やトイレは綺麗に整備されていたが、北海道の多くの岬がそうであるように何も無い(宗谷岬は例外)ところは以前と変わっていなかった。

パーキングから展望台まで歩いて行くと辛うじて岬は見えており、我々は記念写真を撮った後霧立布岬を後にしたのである。私の不注意から立ち寄る事となった霧立布岬だが、これが結果的には良かった事が宿に着いてから判明する事になる。

霧立布大橋を渡り、先ほど警官が立っていた交差点を右折した我々は、浜中方面に向かう。榊町を過ぎ初田牛に向かった我々は、荒涼とした原野の中をひたすら走り根室の納沙布岬を目指したのだが、次第に路面が濡れてきて雨も落ちてきてしまった。

初田牛を過ぎた辺りまで来ると雨は結構強くなってきて雨具を着る事も考えた私だったが、今宵の宿 根室 花咲港 はもう目と鼻の先で、私はこのまま宿に直行する事を決め先を急いだ。

予定では宿に行く前に納沙布岬に立ち寄る事にしていたが、私の頭の中では北方領土を見る事よりも宿でゆっくりしたいという欲求の方が勝っており、別当賀から国道44号に出た我々は花咲港を目指した。


▼根室 花咲港 
民宿 一福
温根沼大橋を渡った我々は、国道44号から花咲港に直行する道に入り 民宿 一福 に向かった我々は、四時半前 一福 に到着する。以前泊まった時、バイクを外に停めておくと悪戯されるからと小屋にバイクを入れさせられた記憶があった私は、バイクを停める場所を聞きに玄関に行く。

すると若い女性が出て来て、宿の前のそこら辺に適当に置いてくれて結構ですと言うではないか。

「そうなんだ。今は外にバイクを出して置いても悪戯されなくなったんだ。」

この四〜五年の間に治安が良くなった事に感心した私だったが、そこに奥から女将さんが出て来て、雨が降っているから奥の小屋から車を出してそこにバイクを置くよう若い女性に指示してくれる。

バイク乗りとしては、雨が降っている時屋根の有る所にバイクを停めさせてもらえる事は本当に有り難い事で、私は女将さんの気づかいに感謝したのであります。雨の降る中ヘルメットを被ったまま荷物をバイクから降ろす作業は結構大変で、屋根が有ると無いのでは雲泥の差なのである。

荷物を持って玄関に行くと女将さんが部屋に案内してくれる。私は以前泊まった部屋かと思い勝手に先に進んでいくと、女将さんに呼び止められてしまった。

「チョッと・・・ 何処行くの?」
「こっちだよ こっち」

我々の部屋は私が進んだ方向とは逆の二階の部屋だった。二人は泊まれそうな部屋だったが、女将さんは私と相棒にそれぞれ別に部屋を用意してくれていた。

「一人の方がゆっくり出来るでしょ。」

と言うのが女将さんの言う理由なのだが、我々は有り難くそのお言葉に甘えさせて頂く事といたしました。

女将さんは
「夕食は五時からで良いかい。」 

と聞いてきたが、お風呂も入りたいし一日中雨の中ばっかだった事から少しゆっくりしたいので
「六時からでお願いします。」 と私が言うと
女将さんはチョッとムッとしたようだったが、それには理由があった事を後に知る。

我々は風呂に入って雨中走行で固まった体を解した後、アルコールを買いに外に出る。以前入った事の有る商店に向かって歩き始めた我々だったが、以前はバイクだった為近いように感じていた港近くの商店は結構遠かった。

一福の周りには漁業関係の倉庫が並んでおりお店は無いと思っていたら、霧雨の中傘も差さずにトボトボ歩く我々の前に一軒の商店が見えて来る。それは北海道の田舎でよく見かけるコンビニのように何でも売っている食料品店で、お酒も売っていた。

中に入ると奥からお爺さん?が出て来て応対してくれたのだが、見知らず我々を見て彼はどう応対したらよいか戸惑っている様子だった。我々は少ない酒の種類の中からホワイトリカーブランドの焼酎とツマミを買って店を出る。こんな商店で買い物すると、北海道のに来たと言う実感が湧く私でありました。

部屋に戻って今日一日の無事と明日天候が回復する事を願って二人で乾杯をする。初めて飲むというホワイトリカーの味を確かめながら、相棒のピッチは順調に上がっていった。




これを食べにここまで来ました。
期待通りの美味しさでした。
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左が鮭の刺身なのだが、ただの鮭とは違うと思われ、口の中でトロケル美味しさ。

右は秋刀魚の刺身。根室の秋刀魚は油がのって一番美味しいと言う。本州で獲れる時には油が抜けてしまっている!?
▼花咲ガニ 鮭 秋刀魚 蝦夷カレイ を堪能

       花咲ガニの食べ方
足の関節の所をハサミで切って輪切りにし、中の身を端から押し出し手食べます。
六時になって下の食堂に行くと女将さんとお客の老夫婦が話していた。多分このご夫婦は五時から夕食を取っていたと思われ、女将さんは我々の姿を見て

「もう、食事が冷めちゃったたよ。」
と皮肉を言う。

それは我々としては致し方無い事であり、納得してテーブルに着くと女将さんが、

「何か飲むかい。缶ビールしかないけど。」
と聞いてきたので缶ビール1本をお願いする。

我々は缶ビールをそれぞれにコップに注ぎ改めて乾杯をする。テーブルの上には大きな花咲ガニが一杯置かれていてこれを二人で食べるようだ。

以前来た時は少し小さいカニが各人に一杯づつ置かれていたが、今日は半分づつのようである。これだけ大きければ半分でも充分と私に不満は無かった。私は美味しいものは後から食べるタイプでもない(蟹を食べるには集中力が必要)のだが、テーブルの上には鮭や秋刀魚の刺身やカレイの煮付けが置かれており、先ずはそれらを酒の肴に飲む事にする。

先ずは鮭の刺身を頂いたのだが、この鮭が只者ではなかった。私の口の中に入った鮭の刺身は、口の中でまるでプリンを食べた時のように溶けてしまったのである。その濃厚な味わいは、私が今まで食べてきた鮭の刺身は何だったのかと疑問を持たせるほどに美味かった。

女将さんに確認しなかったが多分この鮭は特別な鮭だったに違いなく、私はこの鮭を食べられた事たけでも今回この宿に泊まった甲斐が有ったと思ってしまった。花咲ガニや秋刀魚の刺身の美味しさは以前この 一福 に泊まった時に知っていたが、こんな鮭の刺身を食べたのは初めてだったのである。

それと今回初めて食べた物に蝦夷カレイの煮付けがあった。今年の春仁賀保の○
○○さかなや○○で食べたカレイと比べたら、ここのカレイの身の厚さとは五倍は有る(種類が違うから当然だが)と思われるもので、これもまた今まで食べた事の無い旨みの有る味だった。

ビールを飲んだ後、お腹が減ってた我々はご飯をもらって食べる事にしたのだが、ここの茶碗は普通の茶碗の倍は有りそうな大きな物で、その茶碗にご飯が大盛りで運ばれて来た。美味しいおかずは沢山有るし私はそのご飯を全部平らげてしまったのだが、その事が後で悔やまれる事になろうとは、その時の私は思ってもいなかった。

ご飯を食べ終わった後、我々はいよいよ花咲ガニに取り掛かる。花咲ガニの美味しい所は足の身で、我々は足を片側づつ分けて足の分解に取り掛かる。皿の上には蟹バサミ?が置かれていてこれを使用して足から身を取り出すのだが、花咲ガニの場合どのようにこのハサミを使ったら良いのか分らず我々は悪戦苦闘していた。

それを見兼ねた女将さんが身の取り出し方を我々にレクチャーしてくれた。そのやり方は足の関節のところをハサミで輪切りにしてから中の身を押し出して食べる方法で、花咲ガニのように足が太くて短い蟹には有効な方法だった。

この方法は、ズワイガニのような足が長く細い蟹には不向きだとは思うが、タラバには使えそうである。

そして久しぶりに食べた花咲ガニは美味かった。この蟹の味はズワイともタラバとも違った独特の繊細な味を持っていて、一度食べたら後でまた食べたくなる心に残る味なのである。

もっとも女将さんによるとこの花咲ガニの味も茹でる時に入れる塩の量で味が変わてくるのだそうで、普通店頭で売っている蟹は塩が効き過ぎて蟹の味を殺している場合が多いと言う。海産物は獲れた場所で食べるのが一番美味しいのは当然だが、その料理の仕方によって味が違ってくるのは鯵ヶ沢の生干しイカと同じようである。

我々が毎年食べている青森県鯵ヶ沢 由利商店 の美味しい生干しイカの味は、先代のお母さんから受け継がれた焼き方・塩加減で作り出されている物であって、同じイカを使用している隣の店の生干しイカの味が違っていた事を思い出す。

地物の良い素材を使ってもその美味しさを引き出すには匠の技が絶対に必要で、それが料理すると言う事なのだろう。


カラオケ大会開催中!
この三人、歌が上手過ぎ!



















































後に追加されて花咲ガニだが、我々は手を付けなかった。 勿体無い!







▼カラオケ歌い放題!?
我々の隣のテーブルでは関東から ダイハツ コペン に乗って北海道を回っていると言うご夫婦が女将さんと楽しくそうに話している。この78歳になると言う旦那は、80歳の男性が自転車に乗って全国を回っているテレビを見て、オートバイで北海道を回ると家族に宣言したらしいのだが、それだけは止めてくれと言われ結局 コペン で北海道を回る事で妥協したらしい。

この旦那、戦後の国道1号線がまだ砂利道だった頃、関東から伊勢までオートバイで走って名古屋の新聞に載ったという武勇伝を持つ御仁のようで、どうしても風に当たりながら北海道を回ってみたかったらしく、偶々立ち寄った車屋で コペン を見つけ即決で購入を決めたらしい。

我々が宿に到着した時、宿の前には黄色いコペンが止まっていて、私は若いカップルでも泊まっているのかと考えていたが、まさかこんなご夫婦が黄色のコペンオーナーだったとは・・・!? この歳でGSX-R1000(K5)イエロー/ブラックに乗る私も恐れ入ってしまったのだが、それと同時に黄色を好むところといいコペンの旦那に私と同じ匂いを感じたのでありました。

風に当たりながら走るのを楽しみにしていた旦那は、毎日雨でオープンにして走れていないとぼやいていたが、それでもシートのRECAROは腰が疲れなくて良いとかMOMOの皮製ハンドルは握り心地が良いとかBBSホィールやビルシュタインのショックがどうのこうのと、この コペン 結構気に入っているようである。

諸経費を入れれば雄に200万を越える コペン を北海道を走る為だけにポンと買ってしまうこの旦那、今はリタイヤしたと言っていたがどんな人物なのであろうか・・・。このご夫婦が乗る 黄色いコペン(当然オープン状態) とすれ違ったドライバーの反応と共に、私は大いに興味が湧いたのであります。

もし私がすれ違ったドライバーだったとしたら、きっと二度見しちゃうと思います。

その旦那、ここにカラオケが有る事を知って、お金は私が持つからカラオケを皆で歌おうと言い出した。カラオケと聞いて嫌な予感がした私だったが、私がお金を払うわけでもないから反対する権利は無かった。

こう言ってはなんだが、私カラオケと言うものにとんと縁が無く、以前にカラオケを歌ったのはもう10年以上前の事だし、歌ったと言っても付き合いで歌っただけで自分から積極的に参加したわけではないのだ。それでも付き合いで歌う事もあるので、2曲ほどのレパートリーは持っているんですけどね。

旦那が曲目が載った本を所望したのだが、女将さんが出してきたのは大きなレーザーディスクが入ったジャケットだった。そうなんです。ここのカラオケは、十数年前に活躍したレーザーディスクのカラオケだったんです。

当然収録されている曲はその当時以前のものなわけで、時間は十数年前で止まっていたのであります。しかし、それは最近の歌を知らない旦那に取っては何の問題でも無く、旦那は十数枚は有ると思われるレーザーディスクの中からお気に入りの歌をリクエストし、歌い始めたのであります。

そしてその旦那の歌が上手だった。昔は相当の遊び人だった事を彷彿させるその歌声は、その昔多くの女性を虜にしたに違いなかった。意外だったのが控え目な女性に見えた奥様もまたカラオケが上手だった事で、このご夫婦結構似たもの夫婦であるようだ。

そのご夫婦に負けじと女将さんもまた得意の喉を披露する。ここのカラオケセットは、女将さんの為に残されていた物である事を我々に教えてくれたその歌声は、それはもうプロの領域だった。

途中から秋刀魚漁船に乗る漁師さん(休漁日が続いた為、久しぶりに奥さんを様似から呼び寄せてこの宿に宿泊したのだが、奥様はここまで6時間も車を運転して来ていた為疲れ果てて寝てしまったらしく、する事?が無くなってここに飲みに来たらしい。)も参戦、カラオケ大会は大いに盛り上がっていったのであります。


▼究極の選択 カードは二枚

そんな時、カウンター内の壁に取り付けられていた電話が鳴った。電話を取った女将さんは 「○○さんって居る?」 と私の名前を呼ぶ

宿に電話してくるのは私の家からぐらいと思われ、「何か有ったのか。」 とドキドキしながら電話を取った私だったが、今晩八戸から苫小牧行きのフェリーに乗るA氏からだった。A氏からの電話だったら携帯に連絡してくる筈だったが、何故 宿に電話を・・・?

A氏によると携帯をいくら呼んでも出なかった(カラオケ大会中の為携帯は部屋に放置プレイ中)為、秋田のFUNKYメンバーに電話を掛け宿の電話番号を調べてもらって電話してきたのだと言う。

私は最初、今フェリーに乗るからと言う現状報告の電話かと思ったら、その内容は彼の今回の北海道ツーリングをも揺るがす深刻な内容の電話だった。その内容につきましてはこの場での公表を差し控えさせていただきますが、彼は今八戸のフェリーターミナルに居て、そこで緊急事態が発生した為秋田に引き返すかどうかで悩み、私に電話してきたのであった。

私もその話の内容を聞いて悩んでしまった。通常であれば秋田に引き返す事を私は勧めたと思うが、彼がそこ八戸の地に辿り着くまでの事を考えると無下に引き返せとは言えなかった。走る上では全く支障が無い事から、何とかなるから予定通りフェリーに乗って明日北海道で会おうと私は彼に言ったのだが、最終判断は彼に任せる事にした。

そして彼が出した結論は、予定通りフェリーに乗って北海道に渡り、明日我々と落ち合うというものだった。そしてそこから、A氏のハラハラドキドキ北海道ツーリングがスタートするのであります。

電話を切った後、私は彼の幸運を祈らずにはいられなかったのでありますが、それでもカラオケ大会はまだまだ続くのであります。

旦那の何か歌って攻撃をノラリクラリとかわしていた私だったが(ここのレーザーディスクの中に私の数少ないレパートーリーは入っていなかった)、旦那が北島三郎の「函館の人」をリクエストして「これを歌え」とマイクを渡されるに至り、私は覚悟を決めブラウン管の前に立ったのであります。

確かに私 「函館の人」 は何回も聞いて知ってはおりましたが、歌った事は一度もなく最初はカラオケに音程が合わずに苦労いたしました。歌いながら思ったのですが、カラオケとは自分の歌声をカラオケに合わせて修正していく作業なのだと言う事に気付いたのであります。

一番より二番、二番より三番と次第に音が合うようになり、何とか旦那から一番二番は駄目だったが三番は良かったとお褒めのお言葉をいただく事が出来のであります。一曲ではありますがこれで旦那との義理を果たす事が出来た私は、マイクをそっとテーブルの上に置いたのでありました。

そこで私は、ここのレーザーディスクの中に収められた楽曲の殆どを歌えるFUNKYメンバーがいる事を思い出した。もし彼がこの場に居たとするならば、私がこんなに苦労をする事もなかったし、場がもっと盛り上がっていただろうと思われ、何とも惜しまれる。

女将さんは私に焼酎を差し入れてくれるは、相棒は部屋から焼酎を持って来て飲み直しているし、仕舞いには女将さんが花咲がにを一杯追加で我々に差し入れてくれた。女将さんのご好意には頭が下がったが、我々の胃袋はもういっぱいいっぱいで蟹の入リ込む余地は全く無く、本当に勿体無い話だが我々は出された花咲ガニに手を着ける事は無かったのであります。

漁師の彼もアルコールが入るに従いボルテージが上がって歌う歌う!これがまた歌が上手いんだ。漁師の世界では歌が歌えなければ生きていけないそうで、歌は必然的に上手くなると言っていた。女将さんと漁師さんで演歌合戦状態になってしまいました。

こんな雰囲気で時間は過ぎていったのだが、旦那ご夫婦は北海道に来てから多くの宿に泊まってきたが、今日のこの宿が一番楽しいと盛んに言っていた。我々も予想だにしない展開に楽しい時間を過ごさせてもらいました。

旦那の話によると今日納沙布岬に行って来たそうなのだが、霧で何も見えない状態だったらしく、我々が納沙布岬に行かなくて良かったと教えてくれた。岬は違うが霧立布岬に立ち寄った事は正解だったようである。

11時を回って我々は二階に上がってご就寝となったのだが、外は結構な勢いで雨が降っており明日の天気が心配される。今日一日雨で、明日も雨か・・・・。明日は晴れて欲しい! そんな思いで私は布団に入ったのでありました。

第3日目
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