2012 FUNKY 北海道 Part 29 初日 2日目 3日目 4日目 5日目 最終日














雨は上がったが・・・
 
糠平温泉 元祖 湯元館 露天風呂

 北海道最終日の朝は明けた。起きて窓の外を見ると雨は上がっていたがどんよりとした曇り空で、今日の天気が気になった私はテレビをつけ天気情報を見たのだが、昨日の予報と変わらず雨が降り易い状況に変わりなかった。

 私はいつものように朝の温泉に向い、昨日雨で入れなかった露天風呂に行ってみる。湯元館の露天風呂は結構大きな露天風呂で、下が沢になっていて沢の音を聞きながら入るロケーションは、幌加温泉鹿の谷の露天風呂に似ている。

 温泉は無色透明だが成分は濃いようで析出物が石に付着しており、その量は幌加温泉ほどではないがただのお湯ではない事を主張している。晴れた夜は星空を見上げながら温泉を楽しめそうだから、今度は晴れた日の夜に是非入ってみたいものである。


湯元館の露天風呂の石には、
析出物が石に付着していた。



雨は上がったが、通行止は解除されていなかった。

 温泉から上がった私は外に出て昨日通行止めになっていた国道の様子を見てみた。昨日停まっていた黄色い車の姿は無かったが、電光掲示を見ると通行止めはまだ解除されていないようだ。三国峠方面はまだ雨が降り続いていると思われる。


早朝とあって閑散とした糠平温泉の通り。


迷い込んだ鳥。


 早朝とあって国道を走る車も歩いている人も皆無で糠平温泉は静まりかえっていて、空は雲が低く垂れ込め周囲の山々の上部は霞んで見えていた。

 このまま雨が降らず路面が乾いてくる事を願った私だったが、世の中そんなに甘くない事をその後知る事になる。

 私は散策を終え宿の玄関に戻ったのだが、風除室の奥でバタバタと音がしていた。

 音のする場所を見てみると鳥がガラス戸とプランターの間に入り込んでいて、時々羽をバタバタと動かしていた。

 後で女将さんから聞いた話ではこの鳥は昨日からこの風除室に迷い込んでいたようで、女将さんは鳥が逃げられる様に扉を開けておいたらしいのだが、結局出られずに鳥は一晩ここで過ごしたようである。

 私が鳥を逃がしてあげようと近づくとバタバタと羽ばたくのだが、目の前はガラスで飛び立つ事が出来ずに私の方を睨みつけていた。私はガラス戸をを開けて逃がそうとしたのだが、戸は動かなかった。

 ガラス戸は+のネジで固定されており開けるにはスクリュードライバーが必要で、私は部屋からドライバーを取って来てガラス戸を開ける。

朝食はスタンダードなものだが、
お値段が高め1,300円?
目の前が開けた鳥は、大きく羽ばたいて飛び去って行ったのだが、去って行く鳥の姿を見て私は小さな幸福感を味わっておりました。

 朝食は昨晩の夕食と同じくお向いで頂いたのだが、朝食の内容はスタンダード的なもので、内容にしては高かいように感じた。湯元館に泊った時の朝食は、コンビニが良いのかもしれません。

 食事を終えた私は今日の予定を考えたのだが、三国峠方面は通行止で行く事は出来ず、糠平温泉でも雲が垂れ込めている状態では標高の高い幌加峠を越えて然別湖に向かうのは楽しめない可能性が高い。

 標高が低くて路面が乾いていそうなルートとしては、昨日走れなかった陸別〜置戸間が有るのだが、帰りの置戸〜芽登間には峠が有ってそこは雨が降っている可能性が高かった。

 今日は何処に向かっても全てドライな路面は望めないと考えられるのだが、私はドライ路面を期待して午前中のコースを

糠平温泉⇒清水谷⇒芽登⇒茂喜登牛⇒陸別⇒置戸⇒芽登⇒上士幌⇒音更⇒帯広で豚丼と決める。


元祖の文字がこの宿のプライドを感じる。


オーナーご夫婦と写真を撮って出発。

 我々は湯元館のオーナーご夫婦と写真を撮った後、糠平温泉を出発して国道237号を南下、清水谷に向かう。

 私は今回初めて湯元館に泊ったのだが、一昨年亡くなられた幌加温泉の親父さんをよく知っていたオーナーさんご夫婦は楽しい方々で、広い部屋で温泉付き素泊まり(1泊3,800円)はお得感が有った。

 私はお世話になったお礼に秋田から持って来たいぶりがっこを渡したのだが、お返しにと旦那さんが獲った?鹿肉の缶詰を持たせてくれた。

 私がプレゼントに弱い事もあるのだが、糠平温泉 元祖 湯元館 は私のもう一度泊りたい宿の上位にランクインしたのでありました。


楽しんだのは、ほんの数十秒・・・



茂喜登牛の牧場の中を走る道
ドライ路面で空も明るくなって来た。


 糠平温泉を出た時はハーフウエット状態だった路面も次第に乾き始め、山間部を抜けて清水谷付近まで来ると路面はドライに変わった。しかし、清水谷から芽登に抜ける道道468号入ると路面はまだ乾き切っておらず、ハーフウエット路面が時々顔を出しペースは上がらない。

 この道道468号を走る時ペースを上げられない要因が他にも有って、深い原野の中を走る道道468号は、走っている車の数より鹿の数が多いと思われる位鹿が多い道で、とにかく飛び出して来る鹿に充分な注意が必要なのである。

 芽登で道道88号と道道468号の供用区間に入った我々は、置戸方面に向かい喜登牛で道道468号に入って茂喜登牛へ向かう。茂喜登牛付近は山全体が牧草地になっており農場が点在しているのだが、その規模はナイタイ牧場と比較しても遜色ない大きさで、北海道を感じさせてくれる景色が広がっていた。

 国道242号に出た我々は左折して陸別に向かったのだが路面は乾いており、私は陸別〜置戸間のスペシャルステージへの期待が高まって行く。陸別〜置戸間は、北海道の中でも上位にランキングされる高速スぺシャルステージで毎回ここを走る事を楽しみに来ているのだが、私は陸別の街を抜けてはみ出し禁止の黄線が白線に変わるのをジーッと待っていた。

 中央線が白線に変わって私はギヤを三つ落として次のコーナーを目指して一気に加速、一瞬減速してコーナーに飛び込んだ私はコーナー抜けてフルスロットルで立ち上がり次のコーナーへ・・・。一気にアドレナリンが噴き出し私は次の右コーナーに向けて体を右に移動し加速ぎみにコーナーに飛び込んで行った・・・。

 そして右コーナーを抜けて見えて来たのは・・・   ・・・黒い路面でした・・・。

 「えぇー これで終わり・・・?」

 はい、本日はこれで終了でございました。

 スロットルを大きく開けられたのは20秒も無かったのではないでしょうか? それ以降私にスロットルを半分以上開ける機会は無く、何とも呆気無い幕切れでございました。

 それ以降路面は次第にフルウエットになり雨もかなり降ってきたのだが、止まって雨具を着るのも面倒で私は体を出来るだけカウルの中に押し込み、置戸のセイコーマートを目指し我慢の走行を続ける。置戸の手前に小さな峠が在って、そこを越えると雨は小降りになり少しペースを上げて置戸のいつものセイコーマートに到着する。

大雨警報?の雨の中・・・

置戸のいつものセイコーマート到着。



雨具を着て芽登に向かう。

 緑の人は宿で朝食を取っておらず、ここで遅い朝食を取ってこれからの走りに備えている。我々はこれから勝山、鹿ノ子を通り道道88号で再び芽登に戻るのだが、鹿ノ子から先は山の中で標高も上がり雨が降っている可能性が高く雨具を着て置戸を出発する。

 我々はセイコーマート前の信号を右折し道道1050号を芽登に向かったのだが、鹿ノ子まで乾いていた路面は道道88号に入ると様相は一変、路面は次第に濡れてきて雨も落ちてくる。

 それでも駐車場が在るいつもの峠までは大した雨ではなかったのだが、峠に到着すると雨が強くなってきた。私はガソリンタンク上のマップケースにカバーを掛けようとタンクの上を見たのだが、有る筈のマップケースが無かった。

 途中で飛ばした記憶は無かったし、止まった時に外した記憶も無く、考えられるのは宿に忘れてきた事だった。それにしてもここまで2時間近く走っているのに、タンク上に有る筈のマップケースが無い事に気付かなかった自分が情けなかった。

 我々はこれから芽登に戻り上士幌に向かうのだが、芽登から清水谷経由糠平温泉のルートでマップケースを取りに戻っても、時間的なロスは20分程度?で済むのは私にとって幸いでしたね。

 これがあしたの城に泊って2時間後に忘れ物に気付いても、往復4時間掛けて取りに戻る事は考えられないから、今回は本当に幸運でした。

 歳のせいにしては行けないのだろうが、最近物忘れが本当に多いんです私・・・。

 峠で小休止を取った後、峠を下って川に沿って走るようになると雨が半端ない強さで降ってきた。とにかく路面は降った雨の飛沫で白くなりセンターラインも見えない状態で、前が雨で霞んで見えないのに加えシールド内面にも雨が滴り落ちて前が見難く走るが困難な状況になってきた。

 この雨は三国峠を通行止めにしている雨と思われ通行止も納得させる豪雨だったのだが、この道に雨宿りする場所が有る筈もなく、我々は超低速走行で芽登を目指す(それでもダンプトラックを1台追い越したかな?)しかなかった。

 しかし我々に幸いだったのは、この道は昨年のプチ北海道で何回も往復した道で、頭の中に道のレイアウトが何となく入っていて、走っている位置を何となく分かっていた事だった。これが初めての道でこの豪雨だったら、結構不安になったと思いますよ・・・。

 我慢の走行を続けていると芽登温泉入口を過ぎた辺りから雨が弱くなり、今朝通った喜登牛から道道468号に入るT字路まで来ると、さっきの雨が嘘のように雨は上がり路面も乾いてくる? 

 我々は芽登に在る例のパーキングにバイクを入れ休憩を取ったのだが、あの豪雨は本当に何だったのだろうか? それは大雪山系に発生した積乱雲の下で降った豪雨と考えられるが、積乱雲は移動していないのか雨の境目は移動していないように感じた。何とも不思議な豪雨でありました。

 私はこのパーキングから忘れ物を取りに清水谷経由で糠平温泉 湯元館 に向かい、他の二人には上士幌のGSに向かってもらいそこで待ち合わせる事にいたしました。

上士幌のいつもホクレンで待ち合わせ。


 私が湯元館に到着しフロント事務所に行くと、中に旦那さんがいた。私の姿を見て私がマップケースを取りに来た事が直ぐに分かったのだろう、

 「忘れ物をしたら駄目じゃないですか・・・。」

と先ずは駄目出しされてしまった。

 マップケースを直ぐに渡してもらえると思ったら、旦那さんはマップケースの置き場所を知らないようで、お母さんを探しに二階に上がって行ったのだが、暫くして戻って来た。

 一階の奥にも探しに行ったがやはり居なかったのだが、そうこうしている内に事務所の奥の部屋からお母さんが出て来た・・・!?。

 何とも的外れな所を探していた旦那さんだったのだが、この感じがこのご夫婦のキャラクターを良く表わしていて、私は思わす笑ってしまいました。おまけに私のマップケースは先ほど旦那さんが座っていた事務所の棚に置いあったりして、結構天然系(失礼!)の旦那さんのようでした。

 お二人は部屋を掃除していてマップケースを見付け私に連絡を取ろうとしたらしいのだが、私は店の電話番号で宿を予約していて私への連絡方法が無くて困っていたようです。ご夫婦は私が遠くから引き返して来たと考えていたようで、こんな大変な事になるから忘れ物に気お付けなければ駄目だときつく言われた私だが、忘れ物に限らずとにかく物事をよく忘れる年頃なんです!?

 マップケースを定位置のフューエルタンクにセットした私は上士幌のGSへ向かって走り始めたのだが、目の前に有る筈のマップケースが無い事に1時間以上何故気付かなかったのか? 本当に歳は取りたくないものです。

 上士幌のGSで皆さんと合流した私は、給油をして皆さんと共に豚丼を食べに帯広へ向かった。

念願?の元祖 豚丼
 三国峠近郊に泊って北海道最終日に雨が降った場合、FUNKYでは帯広に行く事が多いのだが、今回はいつもと少し事情か違っていた。これまでFUNKY北海道は連休を入れた日程で行われていたのだが、今回は初めて連休が入らない日程で行われていた。

 この連休が入らない日程(日曜日と月曜日の連休)が、私の長年の思いを果たしてくれる事になったのだが、そのお話をしたいと思います。

 国道241号を南下した我々は、音更で旧道に入り帯広駅前を目指す。帯広駅前に在る 元祖 豚丼ぱんちょう は 帯広名物 豚丼 の元祖店で、店の前にはいつも行列が出来ている人気店なのだが、定休日は毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は次の日の火曜日)、第一、第三月曜日は月・火の連休となっていた。

 FUNKY北海道の北海道最終日は日程の関係で火曜日になる事が殆どで、連休(日・月の連休)を利用した場合 ぱんしょう は確実に休業日であった。私はこれまで ぱんちょう の豚丼を食べようと店の前に立った事も有ったがその思いは叶わなかった。

 しかし、今回の北海道は連休でも無く、第一・第三火曜日でも無い ぱんちょう の 豚丼をFUNKYが食べられる本当に奇跡?の火曜日な訳で、私は 元祖 豚丼 が如何なるものなのか本当に楽しみにして帯広に向かっていたのである。

 我々は六花亭の前を通過し帯広駅に出て左折、最初の一方通行の小路に入りその先の駐車スペースにバイクを止め ぱんちょう に向かう。

 ぱんちょう の前には数名の行列が出来ていて私は店内に入って係のおねえさんに名前を告げたのだが、思っていたより狭い店内は昼時とあって満員状態だった。我々は外で名前を呼ばれるのを待ったのだが、10分程で店内に案内され席に着く事が出来た。



この一方通行を進むと六花亭の
パーキング(左側)に出ます。


八年前はシャッターの下りた店の前で
落胆した私だったが・・・。

元祖 ぱんちょう 豚丼 梅 ¥1,050−
※ 美味しく完食しました。

 席に着いて店内を見回すとさすがに老舗の繁盛店、相席の案内や注文の取り方などスタッフさんの対応がしっかりしており、明るく清潔で落ち着いた内装と相まって気持ちの良いお店だった。

 我々はスタッフさんが一番人気だと言う 豚丼 梅 1,050円 を注文して、運ばれて来るのを待つ。昨年食べたJR帯広駅中の ぶたはげ と違って作っている所は見られなかったが、炭火で焼く(多分)豚肉の供給に限界があるのだろう、出て来るまで10分弱の時間を要し 豚丼 梅 は丼の蓋から豚肉をはみ出しながら運ばれて来た。

 ぱんちょう の豚丼には 松 竹 梅 華 の四つの種類が有り、それは豚肉の枚数によって区別されるのだが、豚肉の枚数は 松  竹  梅  華 の関係にあり、価格は 松850円 竹950円 梅1,050円 華1,250円 となっている。

 私の横に座った相席の男性はを注文していたが、豚肉が丼から溢れだしていて食べ応えのありそうな豚肉の量でしたね。


元祖 豚丼のぱんちょう 梅 1050円
※ 豚丼 ぶたはげ 4枚 890円



ぱんちょう の歴史
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 そして念願の 元祖 豚丼ぱんちょう の豚丼を食べた感想だが、昨年食べた ぶたはげ の豚丼と比較しながら述べてみたいと思う。

 ぱんちょう と ぶたはげ の豚肉の違いは肉の厚さでぱんちょうの肉の方が肉厚で、使っている部位(使っている豚の種類の違い?)が違うのか脂肪の入り方が微妙に違っており ぱんちょう の方が少し脂濃い感じがしました。

 食感も厚さと脂身の関係から少し違っていたが一番の違いはタレの違いで、ぱんちょう の方が少し しょっぺ 感じだったような気がします。何分にも一年前との比較ですからハッキリした事は言えませんが、私の個人的な好みでは ぶたはげ の方が口に合っている様に感じましたね。

 今や十勝帯広の豚丼は、全国的にも(吉野家の豚丼は十勝帯広の豚丼をイメージした?)名が知れてきて、帯広市内にも沢山の豚丼店が有るようなのだが、北海道各地で豚丼を食べて来た私の印象としては、帯広の豚丼(帯広では二店しか食べていませんが・・・)には別格のクォリティを感じましたね。

 秋田の B級グルメ 横手焼きそば もそうだが、有名になれば当然名前を謳ったニセモノが出て来るのも世の常で、観光客の期待を裏切らないクォリティを如何にして維持するかが問題となるのでしょうね。


バイクを止めた向いのお店に置いて有った
カワサキ90SS

 八年越しの思いを果たし満足して私はバイクの所に戻ったのだが、道の反対側に珍しいバイクを発見する。

 Kawasaki 90SS  1968年頃のバイクで、ガソリンタンクのKawasakiのエンブレムも昔のタイプの物が付いる懐かしいバイクだった。ホンダのCS90から始まった90ccバイクブーム?の中、Kawasakiが発売したのが2サイクルロータリーバルブの90SSだった。

 このバイクには確かモトクロスレースに出場する為の改造キット(チャンバー等・・・)が出ていて、結構良い成績を残していたように思う。私は乗った事は無いが、モトクロス大会でよく見かけたバイクだった。

 軒先に置かれたこのバイク、目には付くが雨ざらし状態で少々可哀そうだった。出来ればピカピカに磨いて、店内に入れて頂ければバイクも喜ぶかと思いますよ・・・。

 我々はバイクを止めた一方通行路をそのまま進み、六花亭にお土産を買いに行く。私、帯広に来た時は六花亭に立ち寄りお土産を買う事がパターンになっておりまして、今回もマルセイバターサンドをはじめ数種類のお菓子を買って宅急便で秋田に送りました。

 六花亭の店内は相変わらず多くのお客さんで賑わっていたのだが、清潔で上品な店内と素敵な女性スタッフさんの対応は相変わらずで、気持ちの良いお買い物が出来ました。一つ残念だったのは、時間が無くて無料コーヒーを飲みながら安くて美味しいケーキを食べられなかったのが、私としては心残りではありました。

 お土産を送って外に出るとポツポツと雨が落ちてきていた。この先、我々は山を越えて日高に出る予定なのだが、日勝峠を越えるにしても狩勝峠を越えるにしても峠は雲の中と思われ当然雨が予想される。我々は雨具を着込んで帯広を出発、国道38号を西へ向かった。
 
20年以上ぶりの日勝峠
 FUNKYでは十勝から日高に抜ける時、狩勝峠からトマム〜占冠経由で日高に出るのが定番になっている。それは日勝峠と比較して交通量が少なく狩勝峠をはじめ楽しい道が多いからなのだが、今日の十勝平野周辺の山々は雲に覆われ狩勝峠もトマム〜占冠間もウエット路面で走りを楽しむ事は難しいと思われる。

 帯広から日高に行くには日勝峠経由が距離が短く時間も掛からないルートで、移動するだけならわざわざ距離の長い狩勝峠ルートを通る理由は無く、今回は久しぶりに日勝峠経由で日高に出る事にいたしました。


1985年の日勝峠
全線舗装はされていたが、登坂車線の工事中は始まったばかり。




雄大な景色をバックに記念写真。
後右端に立つのが私。
髭も頭も真っ黒ですね!?



第一展望台からの景色。
北海道の雄大さを初めて感じた景色でした。



 私が初めて日勝峠を越えたのは1985年のFUNKY2回目の北海道で、その時は苫小牧港に朝上陸、富川、日高経由で日勝峠のトンネルを抜け日勝峠第一展望台にバイクを止めたのだが、展望台から見た十勝平野の景色は、私に雄大なる北海道を強く印象づける初めての景色となったのである。

 当時、日高と十勝を結ぶ舗装道路は日勝峠がメインルートで日勝峠は我々の定番ルートとなっていったのだが、日勝峠は道東と道央を繋ぐ物流のメインルートでも有り、大型トラックの交通量が多く、峠の登りではトラックの黒煙を延々と浴びせられたり、トンネルの前後では渋滞が恒久化しておりました。

 私が日勝峠を通るのは本当に久しぶりで、最後に通ったのは1989年だったと思うからそれはもう23年も前の事になる。その時は最後尾を走っていたメンバーが大型トラックの運転手さんを怒らせ、怒鳴り込まれたエピソードも有ったりしたのだが、それ以降FUNKYが日勝峠を使う事は無かったのでした。

 日勝峠を使わなくなった理由の一つに、トマムリゾートが開発されてトマム〜占冠間が舗装され日高〜十勝間に新たなルートが出来た事が大きく、狩勝峠の登坂車線が整備され楽しい峠に変わった事もあり、日勝峠はFUNKYでは忘れられた存在になっていったのである。

 そして今回、私は国道38号清水から国道274号に左折して、23年ぶりに日勝峠へ向かったのである。

 左折して少し走ると当時は無かった道東道の十勝清水インターチャンジが見えてきて、道東道の下を潜った我々は峠への長いアプローチを進んで行く。峠の登りには当時は少なかった登坂車線が沢山造られていて、遅いトラックを追い越し易くなっていた。

 交通量は以前よりは少ない感じだったが、やはり大型トラックが多く走っていて、依然として日勝峠は物流の大動脈である事に変わりは無いようである。

 我々は、追い越し車線でトラックの前に出てもまた直ぐにトラックに追い着いてしまう繰り返しで峠を登って行ったのだが、その状況には以前と大きく違う所が有った。

 以前は荷物を満載して苦しそうに登るトラックから大量の黒煙が吐き出されていたのだが、今回走っているトラックから黒煙が出ていないばかりか、結構なアベレージスピードで走っているトラックが多く、登坂車線で我々が追い越すのに苦労する(ウエット路面で急加速は出来ない状況では有ったが)程であった。

 この差は20年間の技術革新の成果だと考えられるのだが、大型トラックに使われている大型ディーゼルエンジンに限らず、最近のディーゼルエンジンは技術革新が進み、パワー不足も黒煙も無縁のエンジンになった事を強く感じた今回の日勝峠でした。

 我々の前に結構なスピードで走るトラックが現れ、私は登坂車線を利用して前に出たのだが、最後尾の1台が登坂車線内で追い越しが出来ず取り残されてしまった。悪い事にそれ以降登坂車線は現れず、我々は2台と1台に分かれて峠を登って行く事になってしまったのである。

 標高が上がると我々は雲の中に入ってガスで前が見えない状態になり、前を走る2台はお互いの位置を確認しながら離れないよう走っていたのだが、後の1台は前後を大型トラックに挟まれた走行になっていたようだ。ガスで前が見えない時は前車のテールランプが頼りで、前のトラックから離れないよう必死で走ったようだが、結局テールランプは見えなくなってしまったようである。

 ガスの中の走行は今回藻琴山でも経験しており苦にはならなかったようなのだが、後から迫リ来るトラックがとにかく怖かったらしい。後のトラックドライバーさんからしたら、前をノロノロと走るバイクに着いて走る事は、これまた違う意味で怖かったものと思われる。

 ガスの中では追い越しも出来ないし、何か有ったら轢いちゃいそうだし、ガスの中から急に現れるバイクのテールランプも怖いから離れる訳にもいかず、視界から消えないよう神経を使ってトラックドライバーさんは走っていたと思いますよ・・・?

 私はトンネルを抜け雲から抜け出た所で後ろの1台を待ったのだが、前後をトラックにピッタリと挟まれてバイクはやって来た。大きなトラックに前後を挟まれて走るだけでもバイクは圧迫感を強く感じるものだが、ましてガスで周りが見えない状況で有ればその緊張感は如何許りで有ったであろうか?

 三台揃った我々は、日高へと向かう。

 トンネルを抜けた日高側ではまだ登坂車線工事(十勝側は終了?)が行われており、彼方此方で工事の片側交互通行も行われていたが、20年経ってもまだ工事が現在進行形だったのには驚いた。日高側の道には20年前と変わっていない所が多く、私は懐かしい景色を思い出しながら走っていました。


道の駅 樹海ロード日高のソフトクリーム
普通でした。

 日高の街に入ると国道274号は以前と変わらず右に直角に曲がるのだが、その交差点に ←左 富岡 の表示が大きく出ていて、私はそのに反応してしまった。私の中でこの辺でが付く地名で思いつくのは鵡川の隣の富川で、私は富川に出る新しい道が出来たのだと思ってしまった。

 以前は狭い道だったと記憶するその左の道は、立派な2車線路に変わっていて私はウインカーを左に上げて左折したのだが、少し走って何かが違うものを感じ道路脇の広い駐車場でUターン、先ほどの交差点に戻って 道の駅 樹海ロード 日高 のパーキングにバイクを停めた。

 私は出発前に予め予定したルートを予習して頭の中の地図をアップデートしてから出発するのだが、今回日勝峠ルートの書き換えは行っておらず20年前の地図でナビゲーションを行っておりました。

 北海道から帰って確認すると、そのまま富岡に向かっても国道235号には出られたようで大きなロスにはならなかったと思われますが、道に疑問を持ったら直ぐに止まって地図で確認する事をしない私は、知っている交差点に戻ったのでした。

 道が分からなくなったら分かる所まで戻るのが私の行うナビゲーションの基本姿勢で、また予習した道以外は冒険しないのも私の基本的スタンスでもあります。

 帯広を出て日高まで休憩を取らずに2時間の一気走りだったが、おかげで時間はまだ4時前でフェリーの時間(苫小牧東港出港午後7:30)には充分余裕が出来た。これからの予定は鵡川のラーメン屋さんで夕食を食べてフェリーターミナルに向かうだけで、我々は休憩取った後道の駅を出発して国道235号を平取へと向かう。

 この国道235号の日高〜平取温泉間を走るのも久しぶりで、見えて来る景色と以前の出来事がリンクして思いだされ、走っていて楽しかったですね。

 ここでネズミ取りをしていてハッとしたとか、ここで追い越しを掛けたとか、昔の事って結構覚えているものですね。

北海道を離れるとなったら雨は上がった・・・

昨年夕食を買った平取のローソンで雨具を脱ぐ。

  車の流れに乗りながらそんな事を考えていたら昨年泊った平取温泉前を通過、昨年も止まったローソンが見えて来て、私はそこで休憩を取る事にした。

 ここまで来ると路面はすっかり乾いていて、空も曇ってはいたが大分明るくなり雨の心配は無くなった感じになっていた。ここで我々は雨具を脱ぐ事にしたのだが、とにかく雨に祟られた今回の北海道も最後の最後になって雨が上がったのは何とも皮肉でありました



鵡川 秀来



店主も一押しの天塩ラーメン 730円



スタンプカード 20杯で1杯無料
※左クリックで拡大



外で出ると陽が落ちて暗くなっていた。
フェリーターミナルまでは15分 最後の走りになる。


 休憩を終えた我々は、平取から鵡川と穂別を結ぶ道道74号に出て、鵡川のラーメン店 秀来 に向かう。

 道道74号は、穂別の民宿 ポレポーレ に向かう時や苫小牧東港のフェリーターミナルに向かう時によく使用する走り慣れた道で、ここまで来ると 「北海道も終わったなぁ・・・」 感が出て、ホッとすると共に北海道を離れる寂しさを感じてしまう自分であった。

 昨年ポレポーレのお母さんから教えてもらった鵡川のラーメン店 秀来 の 天塩ラーメン(730円)は、私が北海道で食べた数あるラーメンの中でトップクラスにランキングされるラーメンで、昨年に引き続き立ち寄る事にいたしました。

 秀来 は住宅地の中に在って分かり難い場所なのだが、今回は昨年の記憶が残っていて迷わずに行く事が出来で少しホッとする。昨年はお客さんで満杯だった店内は、昨年より時間が早い(5時半前)事もあってかお客さんは我々だけで、ご主人と少しお話する事が出来ました。

 私はご主人にお勧めのラーメンを聞いたのだが、店主の一押しはやはり塩(天塩ラーメン)だそうで、天塩ラーメンには自信をお持ちのようでした。

 昨年我々は全員天塩ラーメンを食べていて、新し物好きの私は今年は正油ラーメンにチャレンジ(他の二人は王道の天塩ラーメンを注文)したのですが、結論から言いますと私のチャレンジは失敗でありました。

 正油が美味しくないと言う事ではなくて、天塩ラーメン方がより美味しいと思うと言う事なのだが、次回は素直に天塩ラーメンにしたいと思います。

 秀来 にはスタンプカードが有って、500円毎に一つスタンプが貰えるのだが、20個貯まるとラーメン1杯が無料になるカードだ。私がこのカードを持ったのが昨年で今年でスタンプが2個貯まったのだが、このペース(年に一つ)では無料ラーメンを食べられるのは18年先になる計算になる。

 このカード持っていても意味が無いように思えるのだが、ご主人は

 「そんな事を言わないでまた来て下さい。」 と言うのだが、

18年先にこのカードが使えるかどうかの問題も有りますし、18年後に私が生きているかと云う問題もありますよ・・・ご主人。

 ラーメンを食べ終え外に出て見ると、陽が落ちて辺りは薄暗くなっていた。時間はまだ6時前、ここからフェリーターミナルまでは15分位で行けるから乗船時間まで時間的余裕はまだ充分に有る。

 鵡川を出発した私は浜厚真への直線路を走りながら、今年の北海道を振り返っていた。昨年ここを走っていた時は綺麗なマゼンダカラーの夕焼けが正面に見えていて我々を見送ってくれていたのだが、今年は夕焼けも無く今回の北海道を象徴するるような灰色の空でした。

 それでも今雨が降っていないだけでも有り難い事で、雨の中で乗船待ちするのはやるせないものが有る。6時過ぎ、我々は無事苫小牧東港のフェリーターミナルに到着、既に数台のバイクが並んでいて、我々はその横にバイクを停める。

雨・雨・雨の連続だったが・・・

今日はバイクも車も少な目でした。

  乗船券は購入済みの我々は乗船するまでする事は無く、ターミナルビルの待合室でテレビを見ながら時間を潰す。

 乗船時間になって我々はバイクの所に戻ったのだが、今日は只のウィークデイの火曜日で秋田行きのバイクは我々だけ、新潟行きを合わせても二輪(自転車を含む)は10台もいない寂しい状態だった。

 時間になって我々は無事乗船を果たす。以前は乗船時数々のドラマを演じてくれた白いバイクも、ここの所ドラマを演じる事が少なくなりそれはそれで良い事なのだが、レポートを書く身としては偶にはレポートネタが欲しいと思うのはいけない事なのでしょうか・・・!?

 客室にスペースを確保して着替えた我々は、北海道の埃を落とす為上の階に在るお風呂に向かう。以前は鵡川の温泉施設 四季の館 で温泉に入り、夕食を取り、時間調整をしてフェリーに乗船するパターンだったが、最近は鵡川で食事を取ってお風呂はフェリーで入るパターンになっている。


今回最後の宴
疲れも有ってか酔いの回りは早い・・・。

 鵡川でお風呂に入る時間分だけ余裕が出来るし温泉代も節約出来るし、時間調整は穂別のポレポーレでも出来るから、今後このパターンが増えるかもしれません。

 お風呂から上がった我々は、売店で飲物とツマミを調達しロビーのテーブルに座って最後の宴を始める。今回の北海道ツーリングの想い出話や良かった事、反省点、次回への課題等を話しながら宴は夜遅くまで続くのでした。

 客室に戻るといつものように電気は消され皆さんご就寝でした。今回の北海道は雨に悩まされたが、明日の秋田は雨の心配は無く昨年の様に雨具は必要としないようで安心して私は眠りに着くのでした。

最終日
by Ryuta

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